「遺憾である」とか「善処する」とか、そういう言葉があることは知っているが、自分で使ったことはない。そういう言葉ってみなそれぞれ持っていると思う。書き言葉にもそういうのがあって、「○○となろう」ってのをいつか書いてみたいと思いながら、エラそう過ぎて書ききれないまま卒業してしまった。 今月から始めた文書の校閲のアルバイト仕事。きのう引っかかったのは、乳幼児向け食品に関するニュースリリースにあった「月齢3か月、月齢5か月の赤ちゃん」向けの新商品発売のくだりだ。 広辞苑によれば月齢とは、新月の時を零として起算する日数。すなわち最近の朔を起点としてその時点の平均太陽日をその時の月齢という。どうもあまり分かりやすい説明とはいえないが、月齢って新月から数えて15日目の満月とか、満月の次の十六夜、17日の立待月、18日の居待月、19日の寝待月などに使うもんだろう。 で、人間の赤ちゃんは生後3か月とか生後5か月だろうと”朱”を入れたら、S新聞社校閲部出身の先任将校(63)が「乳幼児向けの食品に月齢って使うんです」。これには驚いたねぇ。二人の子どもがいる女性上司らとの会議でこの「月齢」を話題にすると「あら、子どもが1歳にならないうちは使いますよ。○○さんのころは言いませんでした?」と切り返され、「知らなかったなぁ。長生きはするもんだ」。 俺はおじさんには珍しく、家庭欄にも目を通す方だが、今の今まで生後3か月の文脈で「月齢3か月」の表現に出会った記憶はない。世の中が変わったのか、それともこっちが取り残されたのか。 それでも人間の赤ちゃんに月齢はないだろうとまだ思っている。孫の話になって「月齢は?」なんてほんとに言うのかね。お月様でもあるまいし……。 |
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