文化の日は晴れの特異日とか。今日は明け方までの雨がウソのように真っ青に晴れ上がった。公園の木々も少し色づいてきた。コンビニには「おせち」予約の看板。駅前では年賀状を売る郵便局員の姿も。今年もあと2カ月か。早いなぁ。ということで、先月読んだ本。 中村幸一著「ありふれた教授の毎日」。著者は明治のセンせらしい。西国の隆文堂を覗いたら、手招きするかのような装丁のこの本に出会った。ブログを本にしたもののようだ。なかなかもの静かな書きっぷりに好感をもった。そんなに中身のある本ではないが。 ユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史」。10月あまり本が読めなかったのはこの全世界500万部突破、ことしのビジネス書大賞受賞のこの上下巻本のおかげだ。ホモ・サピエンスが発展を遂げたのは7万年前に噂話ができる言語能力を身に付けたからだ、とする認知革命から説き起こす、この人類の歴史の本。面白いことは面白いのだが、構えが壮大過ぎて、特に宗教の世界に暗い俺には読むのに時間がかかった。近所に住む大手広告会社社長お勧めの本で、読まないわけにはいかなかったのだ。 竹内政明著「読売新聞編集手帳 第4集・第3集」。15年前のコラム。全く古くなっていない。これを読んでいたら、当代きってのコラムニスト、竹内氏が病気療養のため1面コラム執筆から降りることが決まった。これは朝日の池上彰さんの月1のコラムでも「寂しくなった」と取り上げられた。2年前の脳梗塞が完全にはよくなっていなかったのか。あとを任された社会部出身のおじさんのプレッシャーはいかばかりかと思う。 竹内氏の切れ味のいい文章には舌を巻くが、あれだけの天才も15年の間には、一度引用したものをもう一度使うこともあって(この1年間で彼のコラムをずっと読んでいるため分かった)、例えば、永六輔の「生きているということは誰かに借りをつくること 生きてゆくということはその借りを返してゆくこと」、高見順の「辞書は愛に始まって腕力に終わる」、城山三郎の「就職とは人間関係の不条理に耐えることだ」というのが約十年後に引用されている。これはけして非難しているのではなく、それだけなるほどという言葉なのだと解したい。 原田マハ著「アノニム」。今回取り上げられたのは現代アートの巨匠、ジャクソン・ポロック。この幻の傑作がオークションにかけられるという設定の裏に、ポロックのようなペインティングができちゃう香港の男の子がからむ。アノニムとは「作者不詳」の意である。 稲垣えみ子著「もうレシピ本はいらない」。「魂の退社」で知ったアフロヘア―の元朝日編集委員の冷蔵庫も捨てたシンプル・シングル・ライフは、1日200円の食生活から成り立っている。野菜をなんでも干して、塩・醤油・味噌味で食卓を彩る。実にシンプルで学ぶべきところの多い暮らしだが、ちと、マネはできないなぁ。タンパク質が少なすぎる。 |
|