大相撲の国技館がある両国界隈には、ちゃんこ料理の店が多い。中で「巴潟」という店は4種類のスープの味がよく、料理もおいしいので20年ほど前から同期会とか冬の会合によく使っていた。 栃木の新聞社にいた時、3つ下の大専務と雑談していて、彼が明治の学生だったころ、この「巴潟」でバイトしていたという話が偶然出た。学生相撲出身の”弾丸巴潟”は明大出で、専務は「明大スポーツ」の編集サークルにいたのだった。 4年間の宇都宮生活で一番世話になったのがこのK専務だった。Kさんは県紙の生え抜きで、記者としても大活躍。俺が行った当時は常務で、総務・労務・対外担当として新聞社の屋台骨を支えていた。芝刈りや中国語でもよく遊んだ。手堅く、筋を通す好きなタイプである。今年6月、予想通り地元テレビの社長に就任した。 で、Kさんをちゃんこのおいしい冬場に「巴潟」に招待し、お世話になったお礼と社長就任祝いをしようと、ずっと思っていた。月に1回ほど東京でテレビ局の社長会がある。今月初めに尋ねたら、その日がきのう21日で、夕方からは時間が取れると言う。で、午後5時から「巴潟」を予約した。 Kさんの希望で正油味の太刀山ちゃんこを「大関コース」で頼み、まず生ビール、そして焼酎のお湯割り。新聞業界の問題点、テレビの現状、働き方改革など話題は多岐にわたり、あっという間の2時間だった。Kさんは食欲も旺盛で、〆のうどんもしっかり平らげていたなぁ。 さて、支払いの段となりレジで長財布を取り出すと、Kさんは「なつかしい店に連れてきてもらって……。○○さんには誕生祝いやら、何やらでお世話になった。きょうは私が持ちます」と払わせてくれないのである。「それでは趣旨が違う」と言ったが、店先で押し問答というのも無粋なので、ご馳走するのは諦めた。古株の店員さんと40年前の人たちの話が弾んだみたい。 加えて、新春に宇都宮で行われるゴルフコンペでピックアップしてもらう約束まで取り付けてしまった。ご馳走するつもりが、逆にゴチになってしまい、なんか変だなと思ったが、年金生活者が現役の大社長におごるってのが、そもそも無理筋だったのか。このご馳走資金はあさっての有馬記念の馬券購入費に化けそうである。キタサンブラックは激走が続いてくたびれているから、デムーロのスワーヴリチャードだな。 |
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