所得税よりタバコ消費税の方を多く支払っている俺だが、ライターに凝る方ではない。ほんとはマッチをすって火を付けたタバコの方がツンと来ておいしいのだが、今時、専用のマッチを置いている喫茶店は少なくなった。で、ずっと100円ライター派だった。 農水省を担当していたころ、タバコのみのT官房長の部屋に顔を出したら、「ライターをよこせ」と言う。何だろうなと思ってビックのライターを差し出したら、代わりに木のケースに入った100円ライターをくれた。林野庁が間伐材を加工して作ったライターケースだった。これは手触りがいいのでずいぶん愛用していたのだが、海外取材に行った折り、カフェのテーブルの上に置いてトイレに立ったら、誰かに盗まれてしまった。 そんな俺がこの8年間使っていたのはジッポーのライターである。金色で模様はなし。8年の間に金色がいい感じにくすんできていて、蓋を閉めるときの金属音がよかった。これ、京王線明大前の某大でマスコミ志望の1、2年生を対象にやっていた文章教室の教え子のKくんが、3年になる時に「先生にはお世話になりました。タバコがお好きですよね」とプレゼントしてくれたもの。当時は作文の席題を出すと「タバコ!」と言って、屋上で時間をつぶしていたのだった。お小遣いもままならない学生からの贈り物。こういうのはうれしくて使わざるを得ないではないか。 Kくんは残念ながらマスコミへの就職はかなわなかったが、大手食品企業に入り入社丸6年。経理のプロに育っている。おととし新宿で同期の大型美人も交え一杯やった時に「ずっとライターを使っているよ」と取り出して見せたら、うれしそうな顔をした。 そのジッポーのライターだが、酷使がたたり昨日蓋と本体をつなぐ金具のところが壊れてしまった。十分使わせてもらった、と昇天させることにした。ジッポーのライターは重みもあっていいのだが、ライターオイルがすぐに切れ、3日に一度はオイルを抽入しなければならないのが玉に傷。どこのコンビニにもジッポー用のライターオイル缶は置いてあり、先日オイル缶を求めたばかりだが、これも無用の長物になった。 中国語の勉強中にオイル切れになることが多く、うちには吉祥寺の雀荘の名入りの100円ライターが山ほどある。しばらくはこのライターの出番だな。 |
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