この前の金曜日は週3日のバイトは休みの日だったが、バイト先の常務さんと直属のI部長が、大先輩の2人と昼飯を食いたいというので、同僚のMくんと「どういう風の吹き回しかねぇ」と言いつつ、会社の入っている高層ビル最上階のしゃれたラウンジに赴いた。 2年前の7月から一緒に校閲のバイトをしているMくん(週2日)は竹橋の会社入社同期。いったん日経に入ってから竹橋の新聞社に入り直したので、2歳年上。社会部で司法担当が長く、手堅い仕事をしてきた。俺の前任のパンダ番で、上野動物園のランランが死んだ79年9月4日はちょうど泊り番で、応援部隊の一人として動物園に来てくれ、夕刊社会面の受けの軟派記事を書いてくれた。この記事は実に泣かせる内容で、当時は記事に署名はなかったから、直接の担当者の俺が書いたものと周囲に思われ、「アイツは書ける記者」という評判を得たのも彼のおかげだ。 Mはゴマすりではなかったので、社会部出身で社長・会長を務めた2コ上のA氏とぶつかることが多く、定年を前に女子大に転じた時は「お前は社内でもっと偉くなると思ってたんだけどなぁ」と喫茶店で話したこともあった。それから幾星霜。前期高齢者になって同じところでアルバイトするという不思議な縁だ。 61歳という常務が「若いのがいろいろご迷惑をかけてます。新年度以降も校閲を続ける気はおありでしょうか?」と切り出したので、年配者の方からとMくんに水を向けると「そのつもりでおります」。俺は「以下同文です」。そしてまだ40代とおぼしきI部長に「あなたはまだお若いから知らないだろうけど、歳を取ったら”教育と教養”が大事って分かります?」 「そりゃ、なんですか?」と言うので「今日行くところと今日の用。年配の人間にとって行くところがあるというのは、ありがたいことなんです」と話した。常務は「それは助かります。いろいろ新しい仕事をお願いすることになるかも」。ともあれ、もう1年はバイトのクビがつながった。 きょう出勤して、週5日校閲業務に携わっている絶世の美女が「この前の食事会は?」と聞いてきたので「来年度も続けられることになった」と言ったら「ああ、よかった」だと。これでも少しは戦力として頼りにされているのである。 × × × × 今週の拙宅の花は淡いピンクの「センシャル」、レモンイエローの「イリオス」という大輪のバラとオレンジ色の花弁の先が尖がった「バレリーナ」というチューリップです。 |
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