おせち料理なぞガキの頃に食べた覚えはない。正月のモチの記憶はあるけど。オヤジは新潟の出なので、いろんな具の入ったすまし汁に焼いたモチをいれて食うのが正月の定番。俺は焼いたモチに海苔を巻いて砂糖醤油に付けて食う方が好きで、今もバターを挟んでそうやって時々食う。 おせちなんて全く頭になかったのが、年末どうしようかなと思うようになったのは、この十年くらいのことで、独立生活を送っていてなかなか姿を見せない次女を正月釣り上げるために、自宅近くの高級南フランス料理の店Bのおせちを購入するようになった。Bとその日本食の姉妹店B2の和洋のおせちは、見た目も豪華なのだが、当然のことながら少々お高い。バイトが雇い止めになった素浪人が口にするものではないと、先月届いた予約申し込み書はキッパリ破り捨てた。 とはいえ、正月まであと2週間となり、おせちがないのも寂しいなと思って、国分寺駅ビル地下の食品売り場を歩いていたら、煮しめなどの総菜を扱っているMの店頭におせち予約申し込み書があるのが目に入った。5000両ちょっとの「梅」は完売だったが、9990両の「竹」はまだ受付中のようだった。有頭海老のうま煮、ブリのうま煮、伊達巻、栗きんとんなど見栄えのする品が詰まっている。 税込みで1万両を切るというのが気に入り、素浪人でもこのくらいは許されるかなと、きのう前金を払って大晦日の午後受け取りで申し込んだ。Bのおせちの時のように、俺の口にはほとんど入らず、娘たちの腹の中に納まるおせち。まぁ、年寄りが食ってもしょうがないのだ。海老もブリもいらないから、黒豆と椎茸の煮つけくらいは食べさせてね。このおせちにことし習い覚えた厚焼き玉子を作って付けようかな。 コロナが猛威をふるい、ガースー新首相もミソを付けてばかりの年の暮れ。あと2週間で新年を迎えるが、こんな状況でほんとに来年オリンピックを開くつもりなのかね。 |
|