我ら年長組は筋肉の瞬発力と持続力に欠けるので、やるスポーツは芝刈りくらいしかない。見るスポーツとなると大相撲が一番ではないか。サッカーはずっと目をこらしていないと、いつ点が入るか分からないので不向き。日本のプロ野球はオオタニサンの大リーグでの活躍の前にかすみがち。で、贔屓力士の対戦なら5分もあれば済むテレビ桟敷での観戦ということになる。 白鵬の進退と照ノ富士の横綱昇進がかかった名古屋場所で、きのうの千秋楽の14戦全勝同士の大一番は、最近の大相撲では最もワクワクした取り組みだった。全勝対決は9年ぶりとか。俺なんかは栃錦対若乃花(初代)、大鵬対柏戸戦を見ているからなぁ。14日目、白鵬が大関正代戦で仕切り線から大きく下がったミョウチキリンな立ち合いをしたもんだから、今度はどうなるかという興味もあった。 果たして制限時間いっぱいになっても二人はにらみ合ったままなかなか腰を下ろそうとしない。こういうのは目をそらした方ば負けだからな。立った!白鵬、左で照の顔を張っておいてから右ひじで強烈なかち上げ。これ、エルボースマッシュだよな。さらに張り手。14日間冷静な取り口だった照がこれにはムッとした様子で張り手の応酬となった。と、白鵬が先手を取ってさっと右四つになり、強引ともいえる小手投げ。さすがの照も土俵に這った。 白鵬は鬼の形相で吠え、ガッツポーズ。よほどうれしかったのだろう。こんな横綱見たことない。6場所休場後の優勝は例がないとか。3月に右ひざの手術をして、稽古ができたのは6月になってからという。NHKアナとのインタビューで白鵬は「右ひざがボロボロでいうことをきかなかったので、気合を入れてやった。この歳(36歳)で全勝できるなんて思わなかった。ホッとしてます」。 辛口解説の北の富士さんが「これで辞めるんじゃないだろうな」と話したが、白鵬は「これでまた進めるので、よかった」。次の目標は横綱在位899勝となったので「あと1勝して900勝にすること」と前人未踏の優勝45回の記録をつくった力士とは思えない小さな目標を示した。 夜のNHKサンデースポーツに白鵬は、父親が前回の東京五輪でレスリングで銀メダルを取ったそのメダルを首から下げて登場し、「東京五輪までは相撲を取るというオヤジとの約束が守れた」と話した。しかし、白鵬は07年からもう14年間も綱を張っているのだ。次は大関から序二段まで落ちて奇跡の復活を遂げた29歳の照ノ富士の時代だな。照の車いすでの闘病生活を見ているだけに、応援したくなるね。Content-Disposition: form-data; name="image"
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