5月までやっていたマンション管理組合理事長の仕事で最大の功績は、管理会社が求めてきた窓口・清掃業務の委託費の引き上げを当初案の半分以下に押し返し、かつ委託費のアップ分などを吸収する組合費の値上げを実現したことだと密かに考えている。 管理会社は都の最低賃金がこの20年間で時間当たり300円強アップしたが、この間委託費を一度も値上げしてこなかったとして、委託費が昨年度1073万円のところを、15.7%168.6万円値上げしたいと通告してきた。300戸あるうちのマンションでは管理事務所に常駐するおばさん1人と清掃作業員のおじさん2人を管理会社から派遣してもらっている。 で、値上げはやむを得ないが、20年分を一気に取り返すようなやり方はいかがなものかと主張し、現在隔週の土曜日に出勤している窓口を、土曜は無しにするなどの逆提案をし、せめて値上げ額を100万円以内とするよう粘った。すると値上げ幅を6.8%、金額にして73.1万円に圧縮する案を示してきたため、そこで手を握ることにした。 しかし、73.1万円は大きい。さらにここ数年、組合費会計の赤字体質が続いているため、これらを吸収すべく、38年間のマンションの歴史始まって以来初めて組合費の値上げを提案し、5月の総会で圧倒的多数で承認されたのである。エレベーターのある高層棟(8階)は月額5800円から6500円に、そうでない3、4階の中層棟は4300円から5000円にという月額700円の値上げで、年間250万円の増収になる計算。 上げ幅はもっと大きくてもいいのではという意見もあったが、700円としたのは値上げ後が6500円、5000円と切りがいい数字になるというのが最大の理由だ。初めての組合費の値上げだけに、毎月1回発行している広報にかなり早い段階から「上げざるを得ない」などの記事を掲載し、慎重に根回しを重ねた。しかし、この委託費のアップが窓口のおばさんやお掃除のおじさんの給与に反映されなくては意味がない。 きのう久方ぶりに管理事務所に行く用事があったので、旧知のおばさんにそのあたりのことを尋ねたら「私たちの給料は4月に年間2000円アップになると通告されてました」。なに?月額にするとたったの167円。管理会社は20年間内部努力で委託費は上げてこなかったが、73.1万円懐が温かくなるんだから、もうちょっと色を付けてもバチはあたらないんじゃないと思ったのである。 この管理会社の北多摩支店が管轄する団地は約30あり、そのほとんどが言い値通りの委託費アップを呑んだと聞く。それが年俸2000円のアップとはねぇ。ちょっとひどいんじゃない。
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