うちの団地には月1回「みどりの日」というのがあって、住民が建物の周りの植栽を刈り込んだり、下草を除去したりしている。なにしろ高層棟2棟(8階)、中層棟8棟(3〜4階)計300世帯の集合住宅で、広い敷地の600本もの管理樹木が大きく育っていて、造園業者に手入れをお願いしているが、その費用が年間350万円と巨額に上り、住棟周りの植栽の手入れは住民が協力してやらねばならないのだ。 俺は土いじりに全く興味がなく、2年前管理組合の役員になるまではこの「みどりの日」に参加したことはなかった。しかし、5月末に理事長を退任したとはいえ、役員経験者として「みどりの日」に知らん顔をするわけにはいかない。この前の土曜日、朝9時半から2時間が2カ月ぶりの「みどりの日」だった。 で、朝めしを食いに出た帰り、定刻前に管理事務所に顔を出すと俺の代の時も役員だった植栽担当の女性理事が、緑色のボランティアごみ袋や刈り込み用の大きなハサミを用意して店開きしていた。この大バサミを確保しておかないと、伸びた枝などをチョッキンできない。1丁確保して、大谷くんの10勝目がかかる大リーグ中継を見るのを泣く泣く諦め、ウチの棟の入り口の囲いの木の伸びたところを刈り込んでいった。と、2年前理事だったおばさんが、裁ちばさみを手に現れた。 事務所前に行ったが、もう大きなハサミは全部持ち出されたとのことである。そうなのだ。この「みどりの日」の参加者は中層棟の住民が圧倒的に多く、ハサミなどの用具も彼らに先に持っていかれてしまうのだ。地べたが近い中層棟の人々は周囲を自分の庭と思っているのに対し、高層棟の上層階の住民には、自分の庭という感覚はない。1階に住む俺にもそんな気持ちはない。 10時になっても高層棟の参加者は5〜6人。俺の住む高層棟に入り口は4カ所あるのだが、他人の入り口のかこいの木まで刈り込み、夏の間にベラボーに伸びて歩道の邪魔をしている木も思いっきりカットした。戦果は大きなボランティア袋2個分。けっこう汗をかいた。 11時ころになって雨がポツポツ当たってきたので「引き上げますわ」とおばさん元理事に声を掛け、大谷くんの試合に戻ったが、44号のホームランは打ったものの、10勝目はおあずけ。シャワーを浴びて体重計に乗ったら、慣れぬ作業で汗をかいたのが功を奏し、0.5`やせていた。誰です?毎週「みどりの日」をやれと言うのは。 |
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