コロナで1年以上顔を見ていない次女から先週末、珍しくメールが届いた。次女は大手出版社で編集者をしている。曰く「きのう発売された重松清さんの『かぞえきれない星の、その次の星』を編集しました。よい本だと思います。よろしければぜひ」。親バカチャンリンだから、昨年もメールに促されて、彼女が担当した月村了衛著「白日」を読んだが、綾辻行人の「Another 2001」はあまりの厚さと学園ホラーのテーマに挑戦できなかった。 直木賞作家の重松清なら「エイジ」「流星ワゴン」「カシオペアの丘で」などを読んだことがありテイストは合う。で、西国駅前の隆文堂をのぞいたら、シックな装丁で平積みになっていたので、早速入手した。 昨年から今年にかけて文芸雑誌に連載された11の短篇を集めた本のようで、コロナ禍での人々の心のありようを童話チックに綴ったもののよう。5月はこいのぼり、6月はホタル、7月は七夕、8月は送り火と重松さんはその月その月の歳時をうまいこと取り入れており、しみじみとする短篇集だ。 最初のこいのぼりの章を読んだところで、次女は社会に出る頃、童話にタッチしたいと話していたことを思い出した。で「こういう童話タッチの本に携わりたかったの?」とメールしたら「『携わりたかった』の主語が分からないけど、重松さんだとしたら、たぶんそう。私だとしたら別にそんなことないです」と返信が来た。 で「昔、童話をやりたいとか言ってなかったっけ?」と問うたら「15年も前のことを言われても……」だと。この返信に俺たち年長組は15年前も今もさほど心持ちに変化はないが、若い世代は社会に出る前、中堅時代と、どんどん変わっていくものなのだと、今さらながら思い知らされたのだった。とはいえ、娘世代がこうやって形に残る仕事をしているのは、親バカにとってはとてもうれしいことなのである。 |
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