大相撲春場所は中日を終わって、全勝はおろか一敗力士もおらず、6勝2敗が平幕の5人と大混戦になっているが、土日NHKの相撲中継を見て感じたことがあった。 きのうの日曜は正面が元栃東の玉ノ井親方の解説。一方、土曜は渋谷のスタジオに相撲が大好きで力士を目指そうとしたこともある俳優、松重豊と元大関若島津と高田みづえの長女でタレントのアイリをゲストに迎え、取り組みを見ながら、視聴者やゲストの疑問に、元横綱白鵬の間垣親方が答えるというもの。 現役の頃は平幕同士の対戦でもビデオで全て見て取り口を研究したという白鵬の話は実にうなづけるもので、あっと言う間に土俵上の制限時間がくる充実した内容だった。だから、日曜の栃東の解説はアホらしくて聞いていられなかった。向こう正面、舞の海秀平さんの話もいつもの切れがないように感じた。 白鵬は所属部屋に関係なく、若手力士に花道を下がったあたりでいつもアドバイスをしているようで、勝利者インタビュー(聞き手は白鵬)に登場した宇良や大栄翔が、直立不動で緊張しまくって「教わった通りに取りました」と答えている様子がほほえましかった。 土曜日は霧馬山に敗れた若隆景について、まわしを取る位置がちょっと深すぎたとか、押し相撲の大栄翔はつま先を立てて押すので滑りやすいとかいう解説は新鮮で、幕内で一番強いのは高安、豊昇龍の四股は素晴らしく、自分は足が頭より上に上がらないなど、興味深い話も聞けた。松重はかつて大河ドラマで毛利三兄弟の元春を演じたことがあり、「わかたかかげとは言いにくいでしょ」と体験談をアナに話し、趣きがあった。 NHKもこれだけ面白い相撲中継をやれたのだから、これからもっともっと工夫した中継を考えないといけないのではないか。それにしても初めて見たアイリちゃんというのは、高田みづえによく似ていたなぁ。よく知っている力士が負けそうになると絶叫するので、これも興味深かった。 |
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