古今東西の女優さんの中で、一番好きなのはイタリアの大女優ソフィア・ローレンである。まだ存命。1934年9月生まれだから87歳になるのか。スターとは縁遠い俺が1970年代に発売された写真集や米国のライターが書いた彼女のエピソード集まで、今なお持っているのだ。 その代表作がマルチェロ・マストロヤンニと共演した「ひまわり」。第二次世界大戦でイタリアからロシア戦線に送られたマストロヤンニ扮する夫アントニオはロシアの雪に阻まれ行方不明になる。アントニオは生きていると強く主張する妻ジョバンナ役のソフィアは、夫の写真を手にロシアに行き、懸命に探すが……というお話。 1970年ビットリオ・デ・シーカ監督で制作されたこの映画を俺はどこで観たのか。当時はソ連のウクライナ地方で撮影したというひまわり畑の黄色が目に焼き付いている。 この「ひまわり」をきのうテレビでも映画館でもないところで観た。国分寺親と子のよい映画をみる会が主催して、西国のいずみホールで行われた上映会で1000両を払って、食い入るように観たのである。ひまわり畑を越えて訪れた家には雪中に倒れていたアントニオを救った美貌のロシア女性(リュドミラ・サベーリエワ)と結婚し、女の子まで生まれたアントニオが生きていた。 ソフィアは勤め先から列車で戻ったアントニオを見て、言葉も交わさず写真を破り捨てて、その列車に飛び乗り泣き崩れる。ジョバンナも再婚し男児がいる。アントニオは毛皮の襟巻を土産にイタリアを訪れ、雷雨の夜かつての妻と再会する。が、どうになるものではない。全篇出ずっぱりのソフィア・ローレンの哀しみをたたえた演技が素晴らしい。ヘンリー・マンシーニの音楽もせつないね。 この映画会、平日の昼というのに定員370人がほぼいっぱいで、観客の95%以上がおばちゃんだった。みんなウクライナのひまわり畑に触発されたみたい。ここでかつて紙面で映画評をやってもらっていたチマキちゃんの名言。「好きな俳優が出る映画がいい映画」。 |
|