2005年の冬、国立からチャリで今の西国のマンションに引っ越してきた時、徒歩30秒のところに、その年の夏にオープンしたばかりのこじゃれた「B」というフランス料理の店があるのを発見した。ランチが1200両でおいしいので、日曜昼にはカウンター席の端っこで生物学の教科書を広げて予習したりした。 「B」はその2年後、南側のクリーニング店の隣に和食の姉妹店を開店。これもなかなかの味で、娘の誕生祝などによく使った。さらに「B」は十年ほど前、武蔵野線の東側のタワーマンションの1階にデリを中心とする「Bデリ」をオープン。イートインもできるので、俺のための店と受け止め3品定食をよく食べた。 武蔵野線の東側には大きな団地があり、デリの店は主婦層でけっこうにぎわっていた。ここで働いていた贔屓の太目のお姉さんは立川の伊勢丹地下に出したの惣菜店のチーフを任されていたこともあった。伊勢丹地下店は3年ほどで閉じたが、オーナーシェフのTくんは八面六臂の活躍で、「B」や約500b離れた「Bデリ」を行ったり来たりしていたなぁ。 コロナ禍の昨年春、クリーニング屋さんが撤退した後に、「B」はデリの店をそこに移した。コロナの時に大丈夫かなぁと思ったものだ。Tくんは休業給付金をもらう一方で、テイクアウトに力を入れ、3店の10人近い従業員をクビにすることなく、営業を続けた。こりゃぁ大変な苦労だったろう。 今、俺は昼メシは食べないことにしているので、「B」を利用することはほとんどなくなったが(ディナーは懐に厳しい)、昨晩はBSで6時から「鎌倉殿の13人」で頼朝の死(大泉洋の名演)を見てから夕メシに出、たまには「Bデリ」のイートインを利用するかと思い、3品の定食をたのんだ。揚げ出し豆腐、牛肉のしぐれ煮、紫キャベツのサラダで1320両。店番をしていたTくんはおまけに一皿を付けてくれた。 「コロナ禍でよく頑張ったね」と話しかけたら、デリの店の移転が大正解で、約1`離れた多摩総合医療センターの関係者も帰りに惣菜を求めに寄ってくれ、前の店の3倍の売り上げがあり、「B」の3店のなかでは一番の稼ぎ頭なんだとか。「前の店では男性客はほとんどいなかったが、今は仕事帰りの方がよく寄ってくださいます」。 なるほど、飲食店は立地が肝要なのであった。もちろん、おいしくなければリピーターは生まれないけどね。 |
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