むかしよく卓を囲んだ後輩Tくんが、おしっこを我慢しきれず半荘の途中でトイレに立つことがよくあった。1年前、栃木の新聞社のトップだった鬼瓦と囲んだ時は、お父さんはムチャクチャなペースでハイボールをあけるものだから「すまん、1分待って!」と小用のため何度も中断した。「歳を取るとな、近くなるんや」とのたもうたが、そんなら飲むな、品がないと思ったものだ。 半荘は初心者は1時間、慣れた俺たちは40〜50分で終了する。そのくらい我慢ができないのかねと常々思っていたのだが、先週土曜日いつものメンバーで遊んでいる最中、南2局あたりで、急に尿意を覚えた。こりゃまずい。震えも来た。4人とも高い手を目指しているが、なかなか積もらないし、振り込みもしない。「トイレに行きたい」と叫ぶと「振り込めばいいだろう」「そりゃ、イヤだ」ってな会話が重ねられ、結局、流局。 直ちに、「ちょっとゴメン」とトイレに駆け込んだ。50年以上麻雀はしているが、半荘が終わらないうちに小用に立ったのは初めてである。すっきりとして卓に戻り、こんなアクシデントはあったが、この日は珍しく独り勝ちだった。 作家、黒井千次さんに「年齢は常に初体験なのである」という至言がある。歳を重ねればだいたいのことは経験体験済みだろうと若い世代は思うかもしれないが、還暦を過ぎても古稀になっても、その年齢というのは初めて体験する未知の領域なのだ。若い娘の初体験のようにドキドキする色っぽさは全くないが、アレ?と戸惑うのが年長組の初体験。麻雀の途中の尿意のようなことがこれからいろいろ起きるのか、とちょっと考えさせられた。 毎日チェックしている元サンデー毎日編集長、牧太郎さんの今朝のブログによると、牧さんは道路で転び帰宅しても転んで、救急車で搬送され、ブログはしばらくお休みとのこと、救急車に乗ったことも体にメスを入れられたこともない俺だが、これから何が起きるか分からないな。 |
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