隠居志願のつぶやき2017

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...... 2022年09月30日 の日記 ......
■ 「渡良瀬ファイブ」   [ NO. 2022093001-1 ]
 栃木・群馬両県の警察関係者の間には「渡良瀬ファイブ」という言葉がある。1979年から96年までの間に両県境を流れる渡良瀬川流域の足利市、太田市で起きた5件の未解決の幼児殺人事件だ。このうち90年に足利市の松田真美ちゃん(4つ)が渡良瀬河原で遺体で発見された事件は、91年に同市の菅家利和さん(当時45歳)が誤認逮捕され、19年後の2010年の再審で無罪となる足利事件と称され、この誤認逮捕が渡良瀬ファイブが迷宮入りした大きな原因とみられている。
 両県にまたがる県境で起きた事件の捜査は、栃木・群馬両県警の功名争いもあって、協力がうまくいかなかったのも未解決の遠因である。この「渡良瀬ファイブ」を思い起こさせる小説を読んだ。今月発行された「オリンピックの身代金」などで知られる直木賞作家、奥田英朗の「リバー」である。
 足利市と群馬県桐生市で立て続けに若い女性の全裸殺人事件が起きる。10年前も同様に渡良瀬河原に死体が遺棄される事件があり、両県警は威信が問われるという筋立て。捜査中にまた1件、殺人事件が起きるのだ。あまりに「渡良瀬ファイブ」を思い起こさせる展開に夢中になり、600ページ余の大冊を3日で読破した。
 10年前の被害女性の父親が河原に出入りする不審な車両の写真を撮り続けたり、過去に取り調べた男の犯行に間違いないと確信する元刑事が懸命にその男の跡を追ったり、中央紙の若い女性記者もかなりの活躍をする。事件捜査の手法をちょっとかじったことがあり、栃木勤務経験のある俺なぞ、リアリティーのある描写にぐいぐい引き込まれた。
 これは栃木の新聞社の知り合いにも教えないとと思い、足利事件の報道にも関与した旧知のMくんに昨日電話したら、編集の責任者だった彼が営業の責任者に転じていたことも分かった。う〜ん、時は流れるよな。真美ちゃん殺しから30年以上もたっているのだ。その後同種の事件は起きていないから下手人はもうあの世に行っているかもな。

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