隠居志願のつぶやき2017

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...... 2022年11月11日 の日記 ......
■ 絶妙のタイミング   [ NO. 2022111101-1 ]
 来年の4月8日で二期目の任期が切れる日銀の黒田東彦総裁(78)。その黒田氏が財務省の国際金融を司る財務官を退任した2003年の7月から05年1月までの1年半、一橋大学の教授を務めていたことはあまり知られていない。役所の時のような部下もおらず、授業で使う統計資料などを作成するため、休日も世田谷の自宅からマイカーで国立のキャンパスに通い、パソコンとにらめっこする日々。奥方から「財務省の時より働いている」と言われるほどだったとか。
 こんなエピソードは近年ステイタスの低下が著しい一橋大の関係者が知っていても悪くはないと思い、OB会報の11月号の随想欄に「一橋大教授だった黒田日銀総裁」のタイトルで1600字の原稿を載せた。俺が外部に向けて書くおそらく最後の文章で、このOB会報(3万5000部)が今月初め届いた時はちょっぴりセンチな気分になった。
 19年前、このOB会の末端理事として会報編集委員をやっていた時は、新聞社のメディアセクションで動画をホームページに載せる仕事をしていて、随想欄の穴埋めに「活字屋の映像事始め」という駄文を書いたことがあった。その時はタダ働きだったが、今回は原稿料として3000両の図書カードが送られてきた。400字の原稿用紙1枚当たり750両の計算。すぐに朝日新聞に大きく紹介され、これは面白そうと思った羽鳥好之氏の歴史小説「尚、赫々たれ 立花宗茂残照」を求めた。
 この原稿が11月号の巻頭を飾ったので、バドミントン部の同期やゼミの遊び仲間、同窓会の元幹部ら数人から「なかなかよく書けていた」などのお褒めのメールをいただいた。表現者にとって一番うれしいのは「見たよ」の一言なのである。
 急激な円安局面のさなか、この原稿をチェックしてくれた総裁殿からは「教え子の1人から感想を伝えられました。早く伝わるものですね」との連絡をもらったが、退官まで半年のタイミングでの掲載に、うまく行きの助、世の中一番大切なのは素敵なタイミング、という思いを一層深くしたのだった。

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