早や師走に入った。年長組には月日のたつのは早い。素浪人になってからはあまり持ち歩かなくなった黒革のカバーに挟み込んだノルティの見開きマンスリーのブイピー手帳を先週あたりから2023年用のにしている。ブイピーは前年の12月から使えるのだ。この余白の20ページの半分くらいに、ここ20年に読んだ面白い本や好きな格言、警句を書き込んでいるのだが、おとといきのうと、22年版から23年版に万年筆で書き写す作業をした。 で、22年の本のベストテンを除き、書き写しを完了した。この作業がこのところの年末の恒例となっている。コピーして貼り付ければ済むことなのだが、それではもったいない。書き写すことによって脳内にしっかり定着させられる感じなのだ。 この20年、格言・警句のトップに置いているのが、今は亡き三重野康日銀総裁にいただいた「窮して困(くるし)まず、憂いて意(こころ)衰えず」という荀子の言葉だ。日銀キャップだった89年、日経に新聞協会賞を取られた太陽神戸三井銀行の合併を抜かれ、心身ともにボロボロになった時、当時、副総裁だった三重野さんに呼ばれ、鉛筆で書いたこの言葉のメモ書きをいただいた。擦り切れそうになっているこのメモ用紙も黒革手帳にしっかり挟み込まれているのだ。 警句の類では「罪を憎んで人を憎まず、というが、妻を憎んで人妻を憎まず、とも」なんて洒落ていると思うな。「井の中の蛙大海を知らず、されど天空の高さを知る」なんてのもいいね。マンション管理組合の理事長時代に多用した「はげあたまの精神」=ハツラツ、元気に、明るく、楽しく、まぁるく=も、しっかり書き写した。 22年版にはなかった項も1つだけ書き加えた。それは「世の中、点があるとないでは大違い。ハケに毛があり、ハゲに毛がなし。福に徳あり、フグに毒あり。コケに花なし、後家に華あり」という奴だ。探せばもっとオモロイのがあるかもね。 |
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