140字では意が尽くせないと、俺はツイッターはやらないが、何人かの知り合いのツイッターは日々傍受している。知り合いの興味関心がうかがえるし、世の中の動きをそれでキャッチできることもある。自分がこうして連日ブログでつぶやいているのに、あまり他人のブログはチェックしない。 サンデー毎日の元編集長でかつてオウム真理教に狙われたこともある牧太郎氏の「二代目日本魁新聞社」を見るくらい。牧さんは特別なネタ元を持っているようなので、時折りへーっ!ということが載っている。競馬好きの牧さんが万馬券を取ったときのはしゃぎようも微笑ましい。 ただ、有名人のブログとしては、1976年に作家椎名誠らと「本の雑誌」を創った目黒考二氏(ペンネーム北上次郎)のブログはチェックしていた。目黒氏の本は85年の「本の雑誌風雲録」から読んでおり、2000年までこの雑誌の発行人をしていたから、4巻まで出た「笹塚日記」も愛読。平日は笹塚にあった編集部に寝泊まりし、町田の自宅にはほとんど帰らず、週末は競馬場に出撃する目黒氏のライフスタイルにあこがれもした。 この人には「一人が三人 吾輩は目黒考二・藤代三郎・北上次郎である」という著書があり、文芸評論の時は北上、競馬評論の時は藤代の名を使っていた。とにかく本の好きな人で、彼が激賞した作家遠田潤子の本を手にしたこともある。 「活字浪漫」=文庫では「酒と家庭は読書の敵だ」と改題=にある「なんだかなぁ」という表現がとても好もしく、あの小説の解説は自分で書きたかったという思いが結実した「勝手に文庫解説」という文庫にも本への深い愛情が感じられた。その他近年では「書評稼業四十年」(19年刊)も読んだし、「息子たちよ」(20年刊)なども父親の我が子への愛情表現に共感を覚えた。 最近はなかなかブログが更新されないなと思っていたら、昨年12月に出た「本の雑誌1月号」には22年のベスト1に早見和真の「八月の母」を取り上げ「直木賞の候補になると思っていたのだが、なんとなんと候補にならなかった。本当かよ。あれほど驚いたことは、近年、ない」と4ページの文章を載せていた。こりゃ「八月の母」は読まねばと思っていたのだが、1月19日肺がんのため76歳で亡くなったことが新聞各紙で報じられた。 ひとは必ず死を迎える運命にあるが、目黒節をもちょっと味わいたかった。それで、パソコンのお気に入りのところにあった目黒さんのブログを消去したのである。 |
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