あさっては平地でも雪ってな予報が出ているが、立春を過ぎて春めいては来たというのが実感、ということで1月に読んだ本。 読み初めは黒川博行著「連鎖」。黒川の関西弁は実に楽しいので、だいたい手を出している。経営に行き詰った社長の服毒自殺とみられた事案から、闇に沈んだ複数の事件が浮かび上がってくる。鎌田實著「〇に近い△を生きる」。読書感想文の課題図書にしたので、十年ぶりに再読。長野県の医師、鎌田氏は本物と考えている。正解だけではない、というのは若い大学生にはちょっとピンとこなかったかな。 市井三郎著「『明治維新』の哲学」。51年ぶりに再読。この新書については1月13日につぶやいた。高田郁著「駅の名は夜明」。長編の多い高田さんには珍しく短篇を集めている。それが底流ではつながっている。佳品。早坂隆著「世界のマネージョーク集」。早坂氏には「世界の日本人ジョーク集」などの新書がある。気の利いたジョークはそうあるものではないことがよく分かる。 大西康之著「流山がすごい」。つくばエクスプレスが開通して、千葉県流山市は人口も増え、地域活動も盛ん。同市に住む元日経記者が街づくりに関わった市民、行政マンをインタビュー。要は「人」なのだ。竹内政明著「『編集手帳』の文章術」。読書感想文の課題図書にしたので、再読。読売新聞の1面コラムを書いていた竹内氏の秘密が披露されている。当代一の名文家と謳われた竹内氏。俺はその16年間のコラムをまとめた新書を全部読み返したが、我が同期の毎日新聞1面コラム子よりうまい。そのうまさが大学1年生に理解されるかどうか……。 半藤一利著「昭和史の人間学」。戦後軍人、政治家への聞き書きを重ねてきた半藤さんが、人物評を繰り広げる。太平洋戦争に関与した軍人に知らない人も多いので勉強になった。呉勝浩著「爆弾」。昨年の「このミステリーがすごい!」(宝島社)、「ミステリが読みたい」(ハヤカワ)の第1位。本屋大賞の候補にもなっている。いやー、ベラボーに面白い。正体不明の男が仕掛けた連続爆破事件の真相は……。ミステリーを読むと睡眠時間が足りなくなるんだよね。 更科功著「禁断の進化史」。更科氏の新書は面白いのだが、これはそれほどでも。武田砂鉄著「紋切型社会」。最近著作の多い武田氏のデビュー作。かなり難渋な文体。読むのにちょっと苦労した。20本くらいの小論文を集めているが共感したのは2本くらいかな。
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