日曜日の楽しみがきのう終わった。NHKBSで夜10時からやっていたドラマ「グレースの履歴」である。大河「どうする家康」は松潤にどうも違和感があり、5回くらいで見るのをやめてしまった。そしたら2月かな、「あさイチ」にこのドラマの主演、滝藤賢一が番宣で出て、日本各地をロケで回ったというので、ちょっと見るかと思ってはまり、全8回を正座して見たのである。 主人公の蓮見希久夫(滝藤賢一)は幼いころ、両親(中原丈雄、丘みつ子)が離婚し、兄の希久夫は父と、弟(柄本佑)は母と暮らし、30年間交流がない。希久夫の妻、美奈子(尾野真千子)は血液のがんにかかって再発。その治療と不妊治療をしているが、一人でフランス旅行中にバス事故に遭い亡くなってしまう。その妻が免許もない夫に残したのがホンダのエスハチという真っ赤なスポーツカー。 妻が「グレース」と呼んでいたその車のカーナビにはフランスに旅立つ前に藤沢、松本、近江八幡、松山を夫に内緒で訪れていた履歴が残されていた。なぜそんな場所にわざわざ出掛けたのか。妻は夫がつながりを絶った弟、母、恋人(広末涼子)を訪ね、自分が死んだあと夫のことを頼むとお願いして回っていたのだ。 免許を取った夫はカーナビの履歴に沿って、妻の足跡を追う。この旅の途中では、この真っ赤なエスハチにヨーロッパで乗っていたのが、かのグレース・ケリーで、大昔この車を修理したエンジニア(宇崎竜童)が諏訪に住んでいて、希久夫が無茶な運転をして故障した車を修理するというエピソードも盛り込まれている。真っ赤なエスハチが湘南、長野、滋賀、松山を走るロードムービーで、死を覚悟した妻と何も知らなかった男の心情が切々と迫ってくる丁寧な作りのドラマに見入った。 放送に合わせて原作の文庫本=原作は2010年刊=も読んでしまったのだ。原作者の源孝志というのがこのテレビドラマの演出も担当しており、自作に愛着が深いからだろう、実にこまやかな作りのドラマだった。仲野太賀主演の「拾われた男」と同様、そのうち地上波でも放送するだろう。これ、絶対のお勧めのドラマである。 |
|