土曜日筆ペンで宛て名は書き終わった年賀状の山を前に、一通一通内容を変えて万年筆で添え書きをしていると、めったに鳴らない固定電話に着信があった。どうせどこかのアンケート依頼だろうと思ってすぐには受話器は取らずに、留守電のままにしておくと「竹橋の会社の同期の誰々ですが……」ってなことを言っているので、あわてて電話に出た。 妙に馴れ馴れしい口調で「元気?」みたいなことを言う。聞けば、時折り酒を飲んでいた同期のRくんのところに電話したら、長野支局時代に面識のある奥方が、Rは春に食道がんでみまかったとか。この件、同期会の幹事の君は知っていた?とのことだった。 で、「Rくんは4,5年前、同期会のようなことはもう卒業したいとメールしてきたので、このところ連絡は取っておらず、亡くなったということは全く知らない。旧友会のHPにも死去の件は載っていないと思う」と話したら「奴は旧友会には入っていないからな」とのこと。で、11月の同期会に出席した何人かの消息を話し、お互い体に気を付けようと電話を切った。 この電話を掛けてきたKくんは同期だが、40歳前に退社し、顔はおぼろげならが覚えているが会社内で親しく話したことは一度もない。俺の自宅の電話番号にどうやってたどり着いたのかも不明。 周囲との関係も絶っていたRくんなので、そのままにしておいてもいいかとは思ったが、Rくんと一緒に経済雑誌の編集部勤めが長かった同期のIくんくらいには伝えておいた方がいいかと思い、こんな電話があったとメールしたら「Rとは同じ職場でよく話した。退職後もよくメシを食べたが、このところ連絡を取ることがなくなっていた。オヤジさんは長生きしたが、本人は酒たばこをやっていたからな。亡くなったとは知らなかった」と返信があった。 そのIくんもこの夏熱中症にかかり、腎臓を少々悪くしているのだった。死が身近な現実となってくる年の暮れである。 |
|