引っ越すに当たって西国にすでにある家電製品の類はこっちの知り合いに引き取ってもらうことにした。 32インチのテレビはしっかりした台ごと知り合いの美女のところに嫁入りすることが半年前から決まっている。ドンキで買った安直なソファは行きつけの喫茶店のママが手を上げた。冷凍庫付き小型冷蔵庫は喫茶店に最近勤め始めたアンチャンのところに嫁入りする。 チャリ(空気入れ付き)は洗濯機と一緒に俺の後任者にあげる話がまとまっていたが、先週になって「洗濯機はこっちから持っていきます」。そうだよな、洗濯機は気分的に他人の使ったものは使いたくないもんだ。で、この嫁入り先が電子レンジと同様、宙に浮いている。洗濯機はこっちに来てからドンキで買ったもので築4年。もったいないのでゴミにはしたくないが、なかなかね……。テレビはなくても洗濯機はみんな持っているものなのだ。 4月に買ったばかりのCDプレーヤーは、行きつけの居酒屋の常連マダムのところに嫁入りする。俺なんか音楽がない生活は考えられないが、このマダムはお金持ちなのだが、CDプレーヤーがなかったらしい。娘たちの母親がこの嫁入り話を聴きつけ「欲しい!」と言ったらしいが、先着順ということで残念でした。CDプレーヤーはそんなに高いものではないが、自分で買うのはちょっとということなのだろう。 そんな嫁入り話をしていたら、喫茶店のママからカーテンはどうするの?と聞かれた。こちらのマンションには寝室用のベージュ色の遮光カーテン、居間用の黄緑のカーテン、衣装部屋の背丈の低い濃い茶色のカーテンがある。3つとも外側のレースカーテン付き。全部ドンキで買った。このうち黄緑を西国に持って行き、かなり古くなったリビングの薄茶色と交換するつもりだった。 するとママが「知り合いのシングルマザーのところでカーテンがないの。譲っていただけない」。なんでも小学生の女の子がいるのにアパートの1階でカーテンもないのだとか。もちろん「いいよ」。そしたら先日この小学生が修学旅行で出かけた横浜八景島のおみやげの「ミルククッキー」(12枚入り)をママに託した。 いまそのクッキーは俺のオフィスの書類入れの上にある。昨秋、煎餅などのお菓子絶ちを決めた俺だが、この甘〜い甘〜いクッキーは1日1枚と決め、遮光カーテンに小躍りした女の子の気持ちに思いを馳せながら、しみじみと味わっている。電子レンジは惜しいことに、ポイントを利用して5月に手に入れたばかりなのだとか。 今、イルカの形をしたこのクッキーの本日分を口にした。甘いのに、なぜだかほろ苦い味がした。 ------WebKitFormBoundarycDoulOMqfsbUkyl7 Content-Disposition: form-data; name="image"
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