愛煙家の中にはライターに凝る奴もいるが、俺は簡単な100円ライター派である。最近ケムリの出ないアイコスなどのタバコもどきが流行り出したが、タバコってのは火を付ける瞬間が一番いいのであって、俺は絶対アイコスには走らないね。 その100円ライター派の俺が、この5年は金色のジッポーを使っている。かなり年季が入ってきて表面がくすんだ感じになってきた。ジッポーはすぐオイルが切れ3日に一度はオイル補給をしなくてはならず面倒なのだが、使い続けているのには訳がある。この金のジッポー、教え子からの頂きモノなのである。 京王線明大前にある某大でマスコミ志願者向け文章教室のセンせを、栃木に行く前の6,7年間やっていたことは前にもつぶやいた。その初期のころの教え子で2年生の時はサークルの幹事長だったKくんが、卒業間際に「先生にはお世話になりました」と乏しい小遣いの中から贈ってくれたのである。目上の人からならともかく、若い衆からモノをもらうことはそうない。それでうれしくてずっと使っている。 新聞記者志望だったKくんは残念ながら夢かなわず、大手食品会社に5年前就職した。そのKくんから先週うれしい手紙が届いた。この正月の年賀状の返事がだいぶ間を置いて宇都宮に行き、それが西国に転送されてきたのだ。 便箋4枚の近況報告の冒頭には、返事が遅れたことへのお詫びが延べられ、志高く仕事に励み5年目を迎えたこと、経理のことなど何も知らずに入社したが、今では財務諸表も読めるようになり、有価証券報告書も作っている。 俺がよく使っていた「男子三日会わざれば刮目して見よ」の精神で日々成長することに喜びを感じている、とあり、昨秋「この人だ!」と思える二つ年上の女性と結婚したと綴られていた。 そして、先生に教わった書く楽しさ、伝える喜びが経理マンとしても大いに役立っていると、涙がちょちょ切れるようなことが述べられていた。社会が大きく変わろうとしている時代にワクワク感を持って仕事していると結んであった。 マスコミは落ちてしまったが、Kくんのことはちょっと気になっていた俺。あんまり感激したので普段はあまり書かない封書でお返事をしたためたのでした。 |
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