上野動物園のパンダの赤ちゃんにどんな名前が付くかが注目の的だが、きのう９月４日は上野に初めてやってきたパンダの夫婦のうち、メスのランランが38年前に亡くなった日だ。当時社会部で上野担当の俺は、ランラン倒れる、ランラン重病、ランラン危篤、ランラン頑張る、ランラン死すと、５日続けて社会面のトップを書いた。数少ない俺の特ダネは６日目の夕刊に載った「ランラン身重で死す」である。
その２年後の1981年９月４日、我が家に長女が生まれた。パンダの生まれ変わりかと、一時は本気で「蘭子」と名付けようと思ったが、「動物の名にあやかるなんて」という母親の猛反対に遭い、”歩む”に通じる亜弓とした。
長女は今、西国の俺のマンションに同居している。で、きのうの誕生日、午後から用があるという長女を、自宅から30秒のフランス料理の店、ボン・マリアージュでご馳走した。いつもはカウンター席の隅で競馬新聞を広げ従業員から顰蹙を買っている俺だが、昨日は文句なしである。
メーン料理は長女は鯛のポアレ、俺は肉料理。半分ずつ分けて食った。ボンマリは付け合せの野菜がうまいと定評がある。家から30秒のところに、リーズナブル価格でこんなおいしい店があるというのは、とても幸せなことである。
校閲のアルバイト先の話などをしていると、長女が「お父さん、白髪が増えたね」と言う。全くその通り。餃子の都で昼寝付き座敷牢暮らしをしていた４年間に比べ、今のアルバイトは週３日とはいえ、けっこう仕事の密度が高いのだ。それで、白髪も増えたと思われる。ホントは頭頂部のハゲもかなり進行しているのだが。
アルバイト先のエレベーター内にある鏡は非常に精度が高く、乗るたびに白髪が跳ねているのが映る。かっとなり、はみ出た白髪を抜いているのだが、そんなことでは追いつかない。
つらつら考えると、俺がアルバイトに行かない日の担当の竹橋の新聞社同期のＭくんは、300人近くいる今の会社の最年長である。ということはＭくんが来ない日は俺が最年長。白髪もしかたないか。
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