おとといの晩は4カ月ぶりに「Z会」が新宿のいつもの中華料理店で開かれた。「Z会」といっても有名大を目指す学習添削の会ではない。百貨店伊勢丹の広報部が最強だった30年前、広報部長だった田中さんが、退職してから購入した愛車「フェアレディ―Z」にちなんだ田中さんを囲む会だ。 メンバーは当時はまだ入社数年目だった非常に優秀な部下で、現在は幹部社員の玉ちゃんと瓦ちゃん、それにかつて「男サムタイマー」を名乗っていた俺の計4人。特製のコース料理をおいしくいただいたのでした。 田中さんを知ったのは流通を担当していた87年だが、その直後、新聞協会賞の特ダネを日経に抜かれ会社に行けなくなった俺を「足慣らしにウチに通ってくればいい」と記者専用の机と電話がある特別ルームに誘ってくれ、それからかなり親しくなった。 当時では珍しい個別企業の記者室に3カ月通ううちすっかり元気になったが、近間から観る田中さんの部員掌握術はすごいと思った。一例を挙げれば、当時30人くらいいた部下(女性が大半)のお誕生会を、幼稚園のように毎月開き、ジュースとお菓子で乾杯、当人にふさわしい文庫本にバラ一輪を添えて、ポケットマネーでプレゼントしていた。 海外で誘拐事件があった三井物産の危機管理策を俺が話したら、しばらくして「この部屋を見て」と、100人の新聞記者が詰めかけても大丈夫で、20本の臨時電話を接続できる特別会議室を見せてくれた。伊勢丹は当時海外展開を始めており、何かあった場合に備えたのだ。全く田中さんには実行力があり、流通記者クラブの古手のおばちゃんが「私の肩を抱く手に、実がある」と評された方なのである。 三越と合併した伊勢丹は今年トップ交代もあったりして、通販などに押されている現状に、田中さんは大いに不満。玉ちゃんも瓦ちゃんも口をそろえて「今のトップは百貨店の進むべき道や夢を語れない」と嘆いていた。 で、俺からは「年をとったら教育と教養が欠かせないって知ってる?」。これには聡明な二人が?? で、「今日行くところと今日の用が必要というんだ」。バリバリの現役で今日の用がいっぱいある美女2人にはとても思いもよらなかった話みたい。この「教育と教養」は先日卓を囲んだ竹橋の新聞社の人事部長がいたく気に入り、そこここで「○○さん(俺のこと)に教わった」と流行らせているらしい。 |
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