昼メシのために並ぶのはイヤである。なおかつ昼メシは安くてテキトーにうまくなければならない。そして和食に付く味噌汁はちゃんと出汁をとっているものであってほしい。週3のアルバイトで、これらの条件を満たす店をついに発見した。年明けから出勤日にはずっとここで昼を食い、近くのタリーズでタバコを吸いながらカフェオレなんぞをいただいている。 なぜこんな奇跡が起きたのか。バイト先が入居している四十数階の近代的ビルには、大手航空会社や大手電機メーカーの本社が入っており、昼12時ともなるとそこの社員たちが一斉に1階、地下1〜2階の飲食店街に降りてくる。店先で弁当を販売している店にもズラリ行列ができる。 俺は列に並んでメシを食うのが大キライなので、このビルの飲食店街は諦め、新橋駅近くのビルに遠征し、雑な定食とかかつ丼とか稲庭うどんを食っていた。バイト先が入っているビルのトイメンには新人女性社員の過労による自殺で急にお行儀がよくなった電通の四十数階建のビルがあるのだが、その手前には資生堂ビルと日本テレビが入っているビルがある。 俺が目を付けたのがこの日テレビル地下の定食屋である。テレビ局の人間は正午には大挙してメシを食いに出ないと踏んだのである。果たして50人は入る定食屋では、主菜1品、小鉢3品の定食が税込み842円で、一度も並んだことがない。 この主菜というのがバラエティーに富んでおり、きょうなどは鶏のから揚げ、鮭、回鍋肉、サバ煮、鶏と筍のうま煮、肉じゃが、サンマの塩焼き、カキフライの8つから選べる。3つ選べる小鉢は冷奴、オクラ、ジャコおろし、とろろ、コロッケ、白身魚のフライ、納豆、きんぴらごぼう、青菜のお浸し、赤ウインナ揚げ、ナスの揚げ浸し、おでんなど十数種類ある。 俺は常に納豆を選ぶ。きょうはあとポテトサラダとひじきの煮つけであった。これらの主菜・小鉢をお盆に乗せて奥に進むと、元気のいいおばちゃんが「ごはんの盛りは?」と聞いてくる。普通!味噌汁は「熱いですよ!」きょうの具は大好きな油揚げと大根だった。 会社のおじさんを連れて行ったら、感激して「知りませんでした」。この前も一人で来ているのを見かけた。昨年9月にいまのビルに引っ越したからベテラン社員でもこの穴場は知らないのだ。足で稼いだ貴重な昼メシ情報なのである。 × × × × × 今週の拙宅の花は「サムライ」という深紅のバラと白のピンポンマム、それに白のレースフラワーです。
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