隠居志願のつぶやき2017

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...... 2018年01月25日 の日記 ......
■ 気配を消す   [ NO. 2018012501-1 ]

 宇都宮にいた時と違って、西国ではテレビのBSが映る。今の民放ではみたい番組がなく、さりとてNHKだけでは辛いので、BSフジでやっている「鬼平犯科帳」なんぞに時折浸っている。
 地上波での「鬼平」は2年前150回余りで放送を終了したが、フジ系のBSで再放送をしているのだ。火付盗賊改方、長谷川平蔵をやる中村吉右衛門の貫録がなんとも素晴らしい。”本所の銕”の異名を取り暴れ回っていた過去を持つ鬼平の味を出せる役者は吉右衛門くらいではないか。
 その鬼平のセリフに好きなのがあって、怪しい奴を尾行しに行く”うさぎ”(木村忠吾)らの部下に「目の光を消して行け」と言うのだ。尾行となると、どうしても力が入ってしまい、逆に周囲から浮き上がってしまい、ばれてしまいがち。目の光をなくし気配を消すというのはなかなかに難しいのだ。
 先日アルバイト先で、かつてないセリフを聞いた。ちょうど横綱、稀勢の里がすでに3敗を喫し、この勝負に敗れれば休場かという大相撲のテレビ中継が音なしで流れていた。俺がテレビの下で画面に食い入るように見ていると、稀勢の里の地元、茨城から長距離通勤をしている働き者の美女(立場は俺と同じ業務アシスタント)が「地元なんですよ」と稀勢の里のしきりをチラと見て「あぁ、おしっこしたい」と小走りで部屋の外に出て行った。
 ほどなくして戻ってきた美女は「もう終わっちゃいました?」「いや、これからだ」。で、稀勢があっけなく嘉風に4敗を喫するところを一緒に見た。つらつら思うに男同士で「あぁ、しょんべんしたい」とは言うが、妙齢のご婦人からそんな言葉を聞くのは初めてだ。俺、壁のように気配を消していたのかな。
 「きみさぁ、あぁ、おしっこしたいなんて言ったんだよ」と告げたいような、それは言ってはならないような、不思議な感じなのである。

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