ユズくんのフィギアは見向きもしなかった俺だが、昨夜の小平奈緒(31)のスピードスケート女子500bは食い入るようにリアルタイムで見た。オランダ勢が強い種目で日本女子初の金メダル。芸術点がどうのこうのではないシンプルに速さを競うというところに惹かれる。オリンピック2連勝の韓国・李相花(28)を押さえての優勝。見事でした。 スケートの技術的なことはよく分からないが、ソチ五輪で屈辱を味わってから言葉も分からないのにオランダ留学。怒った猫(ボーズカット)のように肩を上げ背中を丸めるスタイルを学び、一本歯のゲタでバランス感覚を養い、どれほどきつい練習を重ねて来たのか。さらに、主将は活躍できないというジンクスがあるというのに、日本選手団の主将まで引き受けた。500bによほどの自信がなければできないわざだ。 小平選手でずっと気になっていたのが、所属先の相沢病院というところだ。ユズくんのANAとか宇野くんのトヨタ自動車のような大企業とは違う。今朝の毎日社会面で長野県は松本市にある病院と判った。小平がリハビリで世話になったことのある病床が460もある大病院だ。 09年春、信州大は出たが就職先が決まらない小平を、当時の相沢孝夫院長(現最高経営責任者)が「さわやかで派手なことを求めない人。スケートに打ち込みたい一心に打たれた」とスポーツ障害予防治療センター職員として受け入れ、ずっと資金援助を続けてきた。昨年春には小平のかつてのチームメートで今は管理栄養士としてサポートしている石沢志穂さん(31)も病院で受け入れ、小平の海外遠征時には帯同させ、精神的な支えにもなっている。今朝の朝日運動面にはこの”いっしー”に焦点を当てた読ませる記事があった。中学3年の時、小平がレースに負けた石沢さんに、熊のぬいぐるみを上げ、明日のレースではワンツーフィニッシュしようと慰めたのだとか。 スケートと自転車は鍛える筋肉が同じ。京都の自転車メーカーが小平用の自転車を整備し、ずっと支えたという話は朝日社会面に出ていた。だから、優勝インタビューで「みんなに支えられた金メダル」という言葉が素直に出てきたのだろう。 金メダルのサイドストーリーは書くのがとりわけ難しい。今朝はスポーツ新聞全紙、一般紙全部に目を通したが、相沢病院を大きく取り上げたのは毎日の社会面。この9年間一度も「勝て!」と言わず江陵のリンクサイドで同県人の小平を見守った相沢孝夫さん(70)が一番称えられるべきではないかと感じた清々しい朝だった。 × × × × × 今週の拙宅の花は「ピンクディプル」という濃いピンクのバラとピンクのチューリップ、ピンクのスイートピー、それに白いレースフラワーです。 |
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