おとといの夜は懸案だった「立春を寿ぐ会」をなじみの新宿のレストランで挙行した。出席者は四半世紀前からの知り合いの超美人ライターCさんと俺。餃子の都から戻った昨年夏から「落ち着いたら一献」という話になっていた。長い付き合いだが、超美女とサシでメシを食うのは初めてか。 このレストランはパンがべらぼーにおいしく、ウニのグラタンが絶品。手金で行ける敷居の低い、他人には教えたくない店である。Cさんは酒豪なのだが、ちょっと体調不良というので、赤ワイン1杯。下戸ゆえ白ワイン1杯ですむ俺に合わせてくれた。前菜のウニのグラタン、チーズとなすの焼いたの、メーンの牛肉と魚(スズキ)をシェアして食ったが、Cさんは「パンがおいしい」と3コも食べてくれたので面目が立った。 「アエラ」の「現代の肖像」の常連執筆者でもあるCさんは文化、政治、マスコミ状況の何にでも通じているから、話はとても面白く、2時間半があっという間に過ぎた。それはいいのだが、前回はいつお目にかかったかという話になり、8年前に、彼女が書評をしたこともある、俺の元同僚の美人歌人が、南の島に移住する壮行会を銀座の稲庭うどん屋でやって以来だよね、でも毎日Cさんのツイッターは傍受しているから動静はつかんでいる――と言ったら、竹橋の新聞社のメディアセクションにいたW記者を入れて、壮行会の後に3人で飲んだことがあるはず、とCさん。 カイロ特派員時代のWくんとCさんがツイッター仲間になったということは聞いてはいたが、「3人で酒飲んだかなぁ?」と俺。酒席をともにしたのなら忘れるはずがないと思ったのだ。 きのうの朝になり、いい店を紹介していただき、とCさんからお礼のメールがあり「Wさんに聞いたら、一緒に稲庭うどん店に行ったと話してました。美人歌人との会合と同じ店だったので、記憶が上書き保存されたのかも」。これには大ショックだった。全く思い出せないのである。これでは”隠居志願”どころか”耄碌志願”ではないか。 昨夜、政治学の勉強に行くため、竹橋の会社の地下を通ったら、今は外信部のデスクをしている当のWくんと何故かバッタリ。「Cさんから今朝、電話があって……」と言うから「俺、君と飲んだ覚えが全くないんだよね」。よく政治家が増収賄の現場にいなかったと主張し、そんな記憶がなくなる訳はない、そんなバカな話があるかと捉えていたが、そういう記憶が消えることがあるらしい?そんな訳、ないのだが。 |
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