昨夜は久方に国立の音楽茶屋「奏」のライブを愉しんだ。出し物はピアノ伴奏つきの柳家小春姐さんの唄と三味線である。三味とピアノのコラボは初めて聴いたが、なかなか良いものだった。題名は忘れたが、唄の文句に「くろう(苦労・黒)知らずの銀世界」という下りがあり、なかなか洒落ていると思った。 第2部の後半、あの短調の哀惜に満ちた「五木の子守唄」をご披露されたので、終了後、旧知の小春姐さん(もう15年は聴いていてCDも持っている)に「五木の子守唄を元唄にした猥歌があるんだよ」と言ったら「猥歌って、聞いたことないわ」。で、芸人さんが猥歌も知らないのではいかんと思い、♪おどま 間違ごて間違ご〜て 婆ちゃんと寝たら 婆ちゃん 生意〜気に 上にな〜る♪というのを、しみじみと唄ってあげたら、姐さん、目を丸くしていた。 俺は猥歌は一種の文化だと思い、運動部時代、合宿などでがなった猥歌の歌詞の採譜を続けており、もう二十曲には達している。一曲歌ったらノドが滑らかになり、調子にのって「松の木小唄」やら「めんこい仔馬」やら「青い山脈」やらを元歌にしたあんまりエゲツなくない猥歌を次々にご披露申し上げた。 旦那様のしゃっくり病が癒えた歌の上手な宮野令夫人も客席におられたので、彼女に元歌を歌っていただき、俺がその替え歌バージョンを小さな声で歌ったのである。まだ30代の常連君など「初めて聞きました」。俺よりちょっと年上の巨匠、宮野さんは「ありましたね、そういう歌が」。 「めんこい仔馬」の猥歌には日本語バージョンに加え誰が訳したのか英語バージョンもあるのだ。「青い山脈」は久しぶりに歌ったので2小節目の歌詞が出て来なくて参った。帰り道に思いだし電車の中でぶつぶつ言う羽目になった。 小春姐さんは「歌詞だけでは……。曲もないと分からない。録音されたらどうですか」。俺としては三味に合わせてボサノバも歌っちゃう小春姐さんに猥歌を覚えてもらい、ステージでやっていただけたら文化の継承に役立つのでは、と思っているのだが……。 × × × × × 今週の拙宅の花は深紅の大輪のバラと白、黄色、桃色のラナンキュラス、それに赤い実をつけたヒプリカムです。 |
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