啓蟄のきょう行って来ました確定申告。30分ほど列に並び、パソコンの前に。臨時職員のお姉さんも低姿勢。一回だけ「佐川くんはどうした!」という言葉を発しましたがバイトさんに当たってもなぁ、ということで先月読んだ本。 葉室麟著「玄鳥さりて」。富商の娘をめとり藩内で出世をとげる男と、かつてその男を守ろうとした剣の達人が次第に対立させられていく物語。昨年暮れ急死した葉室さん。これを遺作とはしたくなかったろう。今野敏著「棲月」。隠蔽操作シリーズの7作目。不祥事の責任を取らされ警察庁キャリアから警視庁大森署長に降格された主人公が、神奈川県警刑事部長への転勤話に少々うろたえるというところが面白かった。 若竹千佐子著「おらおらでひとりいぐも」。ご存じ今年の芥川賞受賞作。夫を亡くしたばあさまの生き方哲学が素晴らしく、東北弁の可能性を強く感じだ。俺、東北シンパなのだ。原田マハ著「奇跡の人」。日本版ヘレンケラー物語。マハさんの設定は、弘前の名家に生まれた三重苦の”れん”を、アメリカ帰りの去場安が教育係として格闘するというもの。なかなかに感動的なお話となった。 葉室麟著「河のほとりで」。急死した葉室さんの文庫本解説とかエッセーを集めた。死は早すぎる。東海林さだお著「オッパイ入門」。東海林の筆は漫画より軽妙かも。残念ながらオッパイ部分は5%くらい。遠田潤子「雪の鉄樹」。あの北方次郎(目黒考二)が激賞、「本の雑誌」が選ぶ2016年の文庫ベストテン第1位。1月に新刊の「オブリヴィオン」を読み、なかなかと感じたので出世作を手にした。面白い。波長が合う。 逢坂剛著「墓標なき街」。逢坂の作品のなかに30年前に出版された「百舌の叫ぶ夜」というのがあり、ゾクゾクする傑作だった。この百舌シリーズで13年ぶりに出た第6作がこの「墓標なき街」。通常なら単行本で手にするところを出たのを知らず、文庫本で手にすることになった。ちょっと期待外れか。 門井慶喜著「銀河鉄道の父 抄」。今年の直木賞の授賞作を『オール読物』3月号で読んだ。俺は宮澤賢治がなぜか苦手。で、単行本を買う気になれなかった。しかし、門井氏は相当な書き手と思えた。賢治の父のせがれ一途なところがよく書けている。葉室麟「天翔ける」。これがほんとの遺作か。小説にあまり取り上げられたことがない松平春嶽が主人公。ちょっと尻切れトンボになった感あり。 |
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