新年度からアルバイトが少し増えることになった。バイトといっても週3日の校閲のバイトではない。先輩に頼まれ、8年前からやっている読書感想文の課題図書の選定と感想文の添削のバイトだ。某団体が運営している全寮制の塾で、これまでは大学4年生3人を相手に課題図書を示していたが、新年度に入塾する1年生23人にも同様の指導をしてほしいと、塾の責任者から連絡があったのだ。 1年生を対象にするのは、10年度と今の4年生の14年度の過去2回ある。今の4年生は1年間海外留学したため、4月以降も5年生2人の面倒をみることにはなっていた。この2人は非常に優秀で、どんな課題図書を示しても問題はないが、真っ新な1年生に課題図書を出すのはホネである。 俺は読書感想文を無理やり書かせることが、本ギライを生む大きな原因と考えている人間。だから、課題図書を選ぶのは責任重大である。過去2回は18、19歳の子も楽しんで読めるだろうと思って出題してきたが、どうしても”縄文人”の選択になってしまうきらいがあった。20人もいればいろんなタイプの子がいる。ピッタリ来ない本を読まされるのでは、たまったものではない。 で、昨夜は次女を美味しいフランス料理で釣り上げ、今の18歳が抵抗なく読める作家を教えてもらった。次女はかつて本の雑誌「ダ・ヴィンチ」の編集部に在籍し、今は大手出版社で文庫本編集に携わっているのだ。 ”縄文人”なりに考えた「生きることの意味」(高史明)、「奇跡の人」(原田マハ)「蝉しぐれ」(藤沢周平)などのラインアップを見てもらうと、次女は「これもいいけど、若い子には有川浩、重松清、辻村深月、伊坂幸太郎なんかがいいんじゃない」とのご託宣。なるほどねぇ。俺、自分より歳の若い作家にあまり魅力を感じなかったんだ。 ディナーの後は夜10時まで開いている新宿の書店に連れて行かれ、文庫本の棚の前で「これとか、これとか、いいよ」。ふ〜ん。おまけに彼女が編集した猟奇犯罪捜査官シリーズの「パンドラ」を買わされた。おととしに波瑠主演でテレビドラマ化された時、原田美枝子が演じた女性検死官に焦点を当てた1冊である。 「ほら、あのいわくありげな検死官の……。あぁ女優の名前が出て来ない」と言うので「原田美枝子!」と的中させたら、次女は「あぁ、それ!このごろ人名が出て来なくて……」。ボケるのが少し早いんじゃない。 |
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