長年、記者をしていたから業界用語(例えばディープスロートなど)には詳しいつもりだったが、「マックレイカー」というのは知らなかった。muckは牛馬糞、こやしの意、rakeは熊手でかくという意。ゴルフでバンカーをならす道具、レーキの語源でもある。だから、マックレイカーはこやしを熊手でかきならす奴ということになる。 田中金脈事件を初めて文字にした評論家、立花隆の新著「知的ヒントの見つけ方」(文春新書)を読んでいたら、この言葉にぶつかった。立花は昨年、在日外国人特派員協会から、報道の自由について「生涯功労賞」を受賞した(年度賞は森友学園への国有地の払い下げ問題のスクープで朝日新聞大阪本社の記者2人に与えられた)。 立花の田中金脈についての月刊文芸春秋の記事(74年11月)は、当初日本の政治部記者からは、みんな知っている話として無視されたが、外国人記者からの反応はものすごく、外国人記者クラブに呼ばれた田中角栄首相は質問攻めに遭い、立ち往生してしまう。そこから田中追及は一気に火が広がった。 当時、立花は米国人の知人が、友人に紹介する際「こいつはいま日本で最も有名なマックレイカーなんだ」と表現したとか。その言葉を知らなかった立花が知人に「マックレイカーって何だ?」と尋ねたら「マックレイカーというのは米国ジャーナリズムの世界では一番の腕利きジャーナリストに与える最大のほめ言葉だ」と教えてくれたのだとか。 米国でロックフェラー家が金力と政治力を使いまくって米国一の長者になっていく裏過程を容赦なくあばいたイーダ・ターベルという女性ジャーナリストに「マックレイカー」という尊称が与えられているのだとか。セオドア・ローズベルト大統領が暗部をあばくジャーナリストをマックレイカーと呼び、スキャンダルに走る奴とマイナスイメージで表現したが、ジャーナリストの側では世の中をよくするためにマックレイキングが必要と捉えているのだ。 マックレイキングはたい肥の山を引っ掻き回すからすさまじい悪臭を伴い農作業で一番嫌われるが、いいたい肥をつくるにはぜひとも必要な空気入れの作業だ。昨今のシンゾーくんのモリカケへの対応を見ても、権力は腐敗する。だから、マックレイキングがいつだって必要なのだと思う。 × × × × × 今週の拙宅の花はバラずくし。「インスピレーション」という深紅と「ブライトン」という黄色、淡いピンクの大輪のバラに水色のブルースターの「ピュアブルー」、それに白のレースフラワーです。 -----------------------------7e21521810458 Content-Disposition: form-data; name="image"
|
|