隠居志願のつぶやき2017

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...... 2018年05月02日 の日記 ......
■ 職人の技   [ NO. 2018050201-1 ]
 肩紐の金具のところがいかれてしまった通勤用茶色の縦長カバン。本体はまだまだ使用に耐えるので、この製造元「青木鞄」に31年勤めた人が元浅草に開いているカバン屋さんまで先週、足を伸ばした。
 ビニル製のお手軽品から本革の重厚なものまで狭い店にはカバンがずらっと並んでいる。俺が15年前に御徒町で求めた2代目と同じデザインの商品もしっかり並んでいた。値段を見ると4万4000両とある。金具が直らなかったら新品を買ってもいいと思っていた気持ちが直ちに萎えた。
 「あのー、青木のこの鞄、金具のところが壊れちゃって」とおずおずと声を掛けると、職人風の店主が出てきて「こりゃ、受けの金具も変えないとダメだな」。なにせ、壊れていない方の金具も摩擦ですり減って受けの金属のわっかがだいぶけずれてしまっているのだ。
 修理に出すのかなと思っていると、店主はクルクル回転する金具と受けの半円形の金属金具の部品を箱から取り出した。鋲でしっかり止めてあるのをどうするのだろうと見ていると、工具で金属のビスみたいな留め具をクイとはずした。あれあれ。新品と交換すると、またビスをはめ、ハンマーでカンカン!先をつぶして元のように留めるみたい。革細工って、こういうものか。この間ほんの10分。はい出来上がり。
 「お代は?」と尋ねると、「千円です」。それじゃああんまり悪いと、レジの前にぶら下がって緑のステッチの縁取りがあるこじゃれた茶色のベルトが目に入った。「じゃぁ、これもちょうだい」。あわせて5000両にもならない。
 これで鞄を手に持たず肩から掛けて電車に乗れるし、普段着用のベルトも手に入った。革製品って、財布でも手帳のカバーでも、なぜか持つのがうれしいんだよね。革ジャンを着る歳ではないけれど……。

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