38年前の甲子園の優勝戦、横浜‐早実の試合を俺は都内版書きの記者として担当した。甲子園近い尼崎に19泊。早実の1年生エース荒木大輔が打ちこまれ、二番手の芳賀くんがマウンドに立った。横浜の愛甲も打たれ、二番手の川戸くんがマウンドに。6−4で横浜が勝った瞬間、捕手の片平は一塁方向にダッシュし、ファーストを守っていた愛甲と抱き合った。川戸はマウンド上でただ一人ガッツポーズ。あまり見たことのないシーン。その直後、俺は頭の中が真っ白になり、一体何を書いたらいいのか分からなくなった。 京浜決戦のため、大阪本社の食いつきが悪く、バックネット裏で原稿を書き始めたら、お掃除が始まり仕方がないので、早実の宿舎に行ってそこで解説記事を書いた覚えがある。 そんな経験があるのに、このところトンと高校野球への興味を失っていた。いわゆる”野球学校”が跳梁跋扈しているからだ。青森山田なんてベンチで関西弁が飛び交っていると聞く。そんな高校野球、見ちゃおれんわなぁ。 しかし、明日は違うぞ。好投手、吉田輝星くんを擁する秋田県立金足農業高校が決勝に勝ち上がったからだ。秋田勢が決勝に進出するのは、第1回大会の秋田中以来103年ぶり。俺は秋田支局長をしていたこともあり、あの体をそらして全身で校歌を歌う姿を見れば、誰だって金足農を応援したくなるではないか。 実は今日の日大三高との準決勝はゴルフ場で見た。8回に1点を入れられ2‐1となり、1、2塁となった9回裏のピンチは午後のスタートホールでワンセグで見たのである。日大三のバッターがセンターフライに倒れたのを見届け、午後のターフに出て行ったのである。一緒に回った先輩3人はみな東北に縁のある人。優勝旗はまだ白河の関を越えたことがないのだ。 あすの相手、大阪桐蔭は春夏連覇がかかっている。高校生離れした打線を擁する。しかし、いい投手はそう打てないはずだ。吉田くんはあすが6試合目になる。疲れは当然あるだろうが、何とか猛打の桐蔭を押さえて、優勝旗を東北にもたらしてほしい。秋田は今ごろ沸いているだろうな。頑張れ、カナアシ!! |
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