隠居志願のつぶやき2017

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...... 2018年08月23日 の日記 ......
■ 大著読破   [ NO. 2018082301-1 ]
 誰もが知っている名作だが、最後まで読み通されたことのない文学作品というのがあると思う。日本では紫式部の「源氏物語」あたりか。古文の教科書にも出てくるから、みんな名前は知っているはず。光源氏という登場人物の名も覚えている。でも、あの54帖の長編を最後まで読み通した人は、商売人は別として、ふつうの人でいるのかなぁ。
 海外の大作だと何だろう。トルストイの「戦争と平和」なんか、どうでしょう。でも俺、この岩波文庫全8巻を50年前の夏、一応最後まで目を通したんだよね。大学受験の迫る高3の夏、この8巻を読破できれば辛い受験勉強にも耐えられると勝手に思い込み、夏休みの昼寝の友にしたのだった。えんえんと続く平原での戦争のシーン。ストーリーは忘れてしまったが、退屈だった記憶はかすかにある。68年の夏いっぱいかかったか。
 酷暑のこの夏、バイト帰りの電車の中で読み続けたのが(行きは竹橋の新聞を端から端まで読む)、司馬遼太郎の明治維新から西南戦争までを描いた「翔ぶが如く」だ。おととい、全10巻を読み切りました。司馬はこの作品を72年から4年8カ月、毎日新聞に連載し大評判となったらしい。俺は新聞連載を読む習慣がないので知りませんでした。
 日本の警察制度の基を作った薩摩出身の川路利良から書き起こし、明治維新に不満の士族の気持ちを集め、ほぼ半年に及んだ西南戦争の戦いを事細かに描き、首領に祭り上げられた西郷隆盛のありさま、人斬り半次郎こと桐野利秋の戦略のなさ、維新の時は西郷の盟友だった大久保利通の国づくりの思いと薩摩への遠慮が縦横に語られる。
 政府軍の指揮官は長州の山縣有朋。熊本城攻撃に手間取った薩摩軍を討伐するのに、維新で冷や飯を食わせた会津の士族を使うところがすごくてむごい。俺は司馬遼ファンではなかったので、5年ほど前、ようやく「坂の上の雲」(文春文庫全8巻)を非常に面白く読んだが、全8巻の「竜馬が行く」はなぜか読む気はしないな。

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