この夏、断捨離を掲げ、名刺ケースに保管していたこの20年間にいただいた数千枚の名刺とか、100冊近い取材ノート、尻ポケットに入れていた200冊以上のメモ帳を処分した。これらを千切って捨てたのが書斎にあるゴミ箱である。つらつら思い返すにこのゴミ箱、俺が高校時代からずっと使っている年代物で、とても愛着のある身の回り品である。こりゃ、死ぬまで使い続けるな。 ゴミ箱というが箱ではない。円柱というか、高さ30a、底の径が18a、上部の径が25a。円錐を逆さにして底の部分をちょん切った形をしている。上部に手で持てるように長さ6a、幅最大3.5aの楕円形の穴が開いている。色が濃いブルー。朝ドラ「半分、青い。」が流行りだが、これは全部、青い。 たしか、日本橋の三越本店で当時としては相当高いモノをお袋に買ってもらった。50年以上使っていて、何度も引っ越ししたというのに、べニアの合板の作りは頑丈で、板はほとんどはげることがない。持ち主のハゲはだいぶ進んだというのに……。この前宇都宮から西国に引っ越してきた時は、このゴミ箱にバスタオルのクッションを入れて、ヤカンを詰めてきた。 俺は机の周りがきれいじゃないと原稿が書けない損な性分なので、大企画に取り組む際はまず、机周りのお掃除から始めたりしていた。だから、ごみ箱は欠かせないのだ。自宅マンションの台所にもプラスチック製の円柱形のゴミ箱が二つほどある。こいつらはなくなってもなんてことはないが、書斎の全部、青いゴミ箱が壊れでもしたら、狂うね、俺は。 × × × × × 今週の拙宅の花は「リベルタ」という濃いピンクのバラと白いクルクマ、それにえんじ色のケイトウです。 |
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