日産のカルロス・ゴーン会長(64)=今日付けで会長を解任=が今週月曜、東京地検特捜部に逮捕された時、逮捕容疑は何なのかと思った。答は金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)。これだけでハハンと分かった人は相当、企業の経理に詳しい人だ。 逮捕から4日たち、だんだん容疑内容が分かってきた。2011年3月期から5年間、ゴーンの報酬総額は99億9800万円だったのに、計49億8700万円と50億円余も少なく記載したというものである。この罪名を聞いたとき、、はるか40年も前、福島地検が木村守江福島県知事を逮捕した際、贈賄側の桑原工務店社長を公職選挙法199条違反でパクッたことを思い出した。 引きネタは誰もがあらがえない形式犯。そこから知事の収賄事件に進んだのだった。ゴーンの場合も、金融商品取引法違反から、脱税とか業務上横領という方向に進んでいくのだろう。俺はゴーンが逮捕された夜の10時から会見した西川広人社長が「(ゴーン会長は)日本で所得税を払っていると思う」と明言したのが、引っかかった。確信がなければあんな風に断言はできないものだ。 フランスの新聞には、フランス政府が大株主の「ルノー」と日産を合併させようとしているゴーンを、西川社長らがこころよく思わず、クーデターを起こしたとの見方も出ているようだ。実際、ルノーはゴーンの会長ポストをはく奪はせず、代行を置いた。一方、こういう事件では極めて稀だが、日産の専務執行役員が20日、菅官房長官を訪ね、事情を説明。「長官から当社をサポートしていただけるとお聞きした」と話した。 ゴーンが要となっていた仏ルノーと日産の関係など、背景にはドロドロとしたものがあるのだろうが、自動車業界を担当したこともなく、移動手段はもっぱらチャリという俺にはその辺のことはよく分からない。 ただ、毎年10億円近い報酬を得ていた人間が、さらに10億円とはいったい何に使いたかったのかと思わざるをえない。その上、ブラジル、レバノン、パリ、オランダに加え東京、ニューヨークでも高級住宅を日産に提供させていたことがわかってきた。 日産のV字回復の立役者としてあがめられ、コストカッターとして経営手腕が称えられた男が、いま東京拘置所で臭い飯を食べている。誰も止められなかったワンマン。末路はあわれだよなぁ。
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