ことしも余すところ十日となった。栃木にいた4年間は独房暮らしだったので、賀状の宛名書きはそこでできたが、しがない校閲バイト生活では勤め先でそのようなことはできない。休みの日に筆ペンでお習字の練習に励んでいるが、まだ宛名はは行〜わ行の百通近くが残っている。 しかし、いつもの年末ならギリギリになる手帳の整理はなぜか既に完了した。最近贔屓にしている国分寺駅南口の珈琲のおいしい喫茶店で、黒の万年筆を使ってちょこちょこやっているうちに、10ページ分の書き写しを終えたのだ。 毎年末恒例の手帳の整備というのは、いつも持っている見開きマンスリーの黒革の手帳に知人・美人の誕生日を忘れないように「B絶世の美女」というように書き込み、後ろにある余白のページに気に入っている言葉とか格言、お薦め本のリストなどを書き写すというもの。 本のリストは前年のベストテンなどを記載するので、毎年少しずつ増える。年末ここでつぶやく今年の本のベストテンも既に決めたのである。お気に入りの言葉・格言はこの二十年間に大きな変化はないが、現役のころは12ページにわたっていたものが10ページに圧縮されている。どうも昨年、書き写すのが面倒になり2ページ分を割愛したみたい。 新年の手帳に新たに加えたのは、この数年の間に採譜した猥歌の歌詞で、自分が実際に歌える曲名のリスト。「青い山脈」「五木の子守唄」「軍艦マーチ」など全15作品。今は猥歌の伝承も大学の運動部でも途絶えてしまっているようだが、これはこれで立派な文化だと思っているのだ。 先日の国立「奏」でのライブで、柳家小春姐さんが「あれを教えてもらわなくっちゃ」の前向き発言があったので、今度のライブの後の時間にでも三味線に合わせて歌うのがぴったりな「松の木小唄」なんぞを伝授しようかと思っているのだが……。 × × × × 今週の拙宅の花は白い大輪のバラと赤、橙、白のリシアンサスです。名前はひかえるのを忘れました。 |
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