隠居志願のつぶやき2017

[PREV] [NEXT]
...... 2019年02月15日 の日記 ......
■ 「武士の家計簿」   [ NO. 2019021501-1 ]
 おととい朝、前歯が取れかけ歯医者に手当してもらうまでは、けっこう時間があった。で、本を読んで時間をつぶすことにしたのだが、こういう時の本の選択はなかなか難しい。今、手元には次に読むべき本が6、7冊並んでいるのだが、小説でもエッセーでもなかろうと手にしたのは歴史学者、磯田道史さん(48)の映画化もされた「武士の家計簿―加賀藩御算用者の明治維新」である。
 NHKBS「英雄たちの選択」の司会や大河ドラマ「西郷どん」の時代考証もしている磯田氏。「歴史の愉しみ方」「天災から日本史を読みなおす」(いずれも中公新書)や「司馬遼太郎に学ぶ日本史」(NHK出版)などの名著に親しんできたが、出世作「武士の家計簿」(新潮新書、03年刊)は未読だった。この新書はきっちりした中身の新書なのに、17年に58刷を数えている本。
 古文書がスラスラ読めてしまう磯田氏が、神田の古本屋で加賀藩の会計係を代々務めていた猪山家の1842年から79年までの36年分の家計簿を発見。それを基に武家の日常の金銭の出入り、明治維新を経験した士族の生活感覚を解き明かした非常に面白い本なのだ。
 磯田氏は古文書が読める人間は地震対策にも役立つはずと、東日本大震災のあと茨城大助教授から東海地震が心配な静岡県の静岡文化芸術大准教授に移ったこともある学者。分かりやすい文章と語りで歴史の面白さをより身近なものにした功績で、昨年伊丹十三賞も受賞している。
 入れ歯を作成する間、歯医者の施術台の上でも読み続け、おかげでイヤな治療のことも、しばし忘れることができたのである。

...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: