高校時代は学年8クラス。1年の時はA組で、2、3年と顔ぶれの変わらないD組だった。2年の時の学級委員は成績はいいが、頭の固いMくんだったので、何とかしたいと中学からの仲間Hと語らい、対抗馬を擁立することにした。英語が得意で陽気なTに「お前が学級委員をやらないか?」と持ち掛けたら「やってもいい」と言う。それで多数派工作を行い、3年の学級委員はTに決まった。 あれから50年。十年ほど前からTが音頭を取ってD組有志によるクラス会が年1回ほど開かれている。アメリカ生活が長い春木くんの帰国に合わせて男の子女の子(もうおじいさん、おばあさんか)が十人程度集まる。土曜日はそのクラス会が6人が出席して銀座で行われた。 会場はコリドー街沿いのビルの7階にあるSという店。飲み放題で中華料理が9品出て3時間カラオケ歌い放題で4000両という、戸越銀座でもありえないお得なコースだ。料理もまずまずでビールで乾杯したあと、春木がお土産に持ってきたカリフォルニアワイン(赤)を楽しみつつ近況などを語り合った。 Tは石油会社を退職後、日本語教師を週3回、1日2コマやっている。Hは週4日杉並の小学校で授業のチェック役をしている。春木は大手電機メーカーのアメリカ法人の子会社の社長をまだ続けている。O嬢(オーバーか)は大学でドイツ語の非常勤講師。T嬢は専業主婦なの中学高校の仲間の動静に一番詳しい。 歓談は2時間ほど。そのあとはカラオケとなった。みんなが歌ったのはサザン、小椋佳、太田裕美などおなじみの歌。3000曲をほこる俺は全部唱和できた。俺は井上陽水の「新しいラプソディー」と杏里の「オリビアを聴きながら」。入れ歯がフガフガしないかちと心配だったが、高音部も出て大拍手をもらった。入れ歯でも歌は大丈夫だ。 幹事役のTに「よくこんな店を見つけたなぁ。たいしたもんだ」と言ったら「銀座でこんな安いとはなぁ」。Tはこの会の常連以外のクラス仲間にも声を掛けたいようだが「名簿がちゃんとしてなくて、連絡がつかないんだ」。連絡が付くひとでも「M嬢はがんの治療中だしなぁ」。みんなそんなお年頃なのだ。 |
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