こういう手もあったかと思ったのが、きのう9日発表された新紙幣のデザインである。新元号が1日に発表されて、どことなく浮き立っていたところに、お札の顔が変わる。なんとなくワクワクする?でもねぇ、令和はあと3週間だが、お札は5年先の24年からなんだよ。新元号の御世のムード盛り上げに渋沢栄一さん、津田梅子さん、北里柴三郎さんが使われちゃったんじゃないかな。 紙幣の図柄変更は偽造防止のため、20年にいっぺん行われるのだとか。俺らの世代はお札といえば聖徳太子だったが、千円札は63年に伊藤博文になり、84年に1万円札が福沢諭吉に、5千円札が新渡戸稲造に、千円札が夏目漱石になった。で、20年後の2004年に5千円札が樋口一葉、千円札が野口英世になった。 20年後ということで、次のデザイン変更は24年度上期で、それを5年前のことし発表した。04年の変更を発表したのは2年3カ月前、84年の変更を発表したのが3年4カ月前だから、今回改元と合わせた変更発表は、令和との相乗効果を狙った安倍政権の成果にしたいとの思惑があったとみてもおかしくない。なにせ、新元号の発表で内閣支持率は9ポイントも上昇したのだから。 新紙幣の肖像画の決定権は財務大臣にあり、麻生くんは「新たな産業育成、女性活躍、科学技術の発展など現代にも通じる諸課題に尽力しており、新元号の下での新しい日銀券にふさわしい人物」と話している。3人のうち日本初の女子留学生で津田塾大学を創設した津田梅子、破傷風の血清療法を確立したり、ペスト菌を発見して「日本近代医学の父」と呼ばれた北里柴三郎は文句のないところだが、渋沢栄一は諭吉さんに比べると知名度にやや欠けるのではないか。お札に付き物のヒゲもないし……。ま、出身地の埼玉県深谷市は大歓迎のようだが、いずれにしても実物を手にするにはまだ5年もかかるんだよな。 万人が納得する人物なんてほんとに難しいね。信長・秀吉・家康なんて面白いと思うんだけど、財務省は偽造防止に必要な精密な写真が残っていないとダメと言っている。時代によって評価が変わる政治家は採用しないんだとか。となると、2044年のお札の肖像画を誰にするかは難しいぞ。俺はちょっとそこまでは生きていられないから、見られないだろうけれど……。 × × × × × 今週の拙宅の花は「ローテローゼ」という真紅の大輪のバラと「セレブターンブルー」という紫と白が混ざったリシアンサスです。
|
|