校閲のアルバイトの同僚、絶世の美女A嬢は俺たちより半年遅く17年暮れ、仕事に就いた。それまではサンケイの校閲職場にいたS氏が5年間一人でやっていた。対外的に発表する文書を数多く取り扱っているPR会社であるため、校閲機能を高めたいという社長方針で、週3日の俺と週2の我が同期Mくんが17年7月に採用され、S氏の人気切れでA嬢が加わった。 A嬢は年齢不詳。チラシを作成する会社で校閲作業をやっていた経験があるとのことだった。時事問題などに少々うといところがあるが、字体とか文字の配置には敏感で、パソコン作業にもよく通じており、「このアルファベット表記は半角になってます」と俺なんかが全く気付かないところに目が行く。通常の校閲作業は2人で同一の発表資料をチェックし、それを突き合わせて用語の間違いなどを正すことにしており、息を合わせる必要がある。 きょう11日はそのA嬢の誕生日である。半年ほど前雑談をしていて、誕生日が4・11であることが判ったので、昼メシをお祝いに御馳走することにして、この機に年齢に迫ろうと決めていた。本日俺はバイト休み。で、きのうの昼、バイト先のビル最上階の高級飯屋に誘い、初めて1時間歓談した。A嬢はいつも自宅からサンドイッチを持参するので、メシを一緒に食うことがなかったのである。 こういうのは真正面からズバッと尋ねるに限る。で、「おめでとうございます。ところでなにどしなの?」と聞くと、持っていた手ぬぐいの模様を指さし「これです」。そこにはたくさんのお猿さんが描かれていた。ということは51歳。両親は教員で、2つ上の兄貴さんも教員、2つ下の弟は調理師とのことであった。 「あたし、料理は好きじゃないんで……」大学を出てからいろいろ勤め先を変えたが「今の校閲の仕事が一番楽しくって、合っている気がする。4年後クビになるのがこわい」とか。今のバイト先は休みも取りやすいし、女性の働きやすい職場なんだそう。それは俺も同感である。 申年といえば、うちの娘たちの母親もそうだし、もろもろ世話になっている美女もそう。不思議と縁があるなぁと感じ入ったのである。
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