東京五輪の市松模様のピンバッジをしている人をよく見かけるようになった。わっかのと羊の角のようなあのデザイン。最初は地味だなとおもったが、見慣れてくるとなかなかいい感じだ。7、8月の猛暑の下の五輪開催には賛成できないけど……。 俺もいたずらでピンバッジはよく付ける方だ。サラリーマンページのデスクをしていた時や秋田の親方をしていた時は、チェーンソーやマイクロメーターを模した奴をよく襟にしていた。原稿をたたき切らねばならない時はチェーンソー、綿密に見なければならない時はマイクロメーター。身に着けるものにはそれなりの意味があるのだ。 今は、宇都宮で市の名物をデザインしたネクタイを求めた時におまけに付いてきたサキソフォンとカクテルグラスのピンバッジをバイトの休みの日によく付けている。デニーズで朝飯を食った時、サックスバッジを付けていたら、レジのおばちゃんに「ジャズマンでいらっしゃいますか?」と聞かれ、ちとうれしくなった。その時は「聴くだけです」と答えたが、「そうなんです」とでも言っておけばよかったかな。 ようやく顔なじみになった国分寺の花屋さんでは、女性店長のOさんから「私もサックス吹いてます」と言われた。で、長年国立の「奏」で聞いているサックスの巨匠、宮野さんの話をしたら、インターネットで宮野さんのことを調べたとか。こりゃ、本物と思い、たくさん持っている宮野さんのCDの中から1枚進呈することにした。老い先短い身だから、若い世代にあの名演を伝えたいじゃない。 巨匠ではあるが、ふつうのCD屋にはあまり置いていないのだ。数々のミュージシャンと共演している宮野さんだが、自分のリーダーアルバムは6、7枚か。このところ中島みゆきばかりを聴いていたのだが、先日宮野さんのCDを立て続けに聴いて、あの誰も真似のできないしみじみする音色がよく出ている「アルトトークス」(2011年発表)を差し上げることにした。 97年に出たピアノのフェビアン・レザ・パネさんとの「プランタール」、09年のギターの中牟礼さん、ピアノの二村さんも加わった「ジ・アーティストリィ・オブ・ユウシミヤノ」、15年の「アルトトークス・ウィズ・ストリング・セクステット」。いずれもいいよね。寝床で本を読むときは、こちらのCDの方が中島みゆきよりいいのは、よく分かっているんだけど……。 |
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