毎日新聞の家庭欄に載っている人生相談が面白い。回答者は作家の高橋源一郎、落語家の立川談四楼、漫画家のヤマザキマリ、女優の渡辺えりらが日替わりで登場するのだが、日曜担当の源一郎さんの回答には”常識的”なところがなく、いつもなるほどと思ってしまう。 16日の日曜日は、結婚するのが怖い。仮に結婚・出産したとしても仕事は続けるつもりだが、仕事と子育ての両立は難しい気がする、子ども中心の生活になることに抵抗も感じる。夫から愛されなくなるのではと思うから、という21歳の女性からの相談。 これに対する源一郎さんの回答は、年齢を3で割ると、それは、その人が人生の何時にいるかを示す数字になるそうです。だとするなら、あなたはいま午前7時。やっと朝になりました。一日が始まったばかりです。あなたはまだ、何もほとんど知らない。人間は知らないことについて綿密な「計画」をたてることはできません。そんなことは太陽がもっと高く上がってからでいいじゃないですか。人生の午後11時(!)にいるわたしはあなたがうらやましい。だって、あなたはこれからすべてを知ることになるのだから。怖がっている暇なんかありませんよ。まず、あなた自身を「作る」ことから始めなくてはね――というもの。 これでいくと、俺も午後11時近くということになる。あと1時間ちょっとで終わりになるのもなぁ……。この「年齢24時間制」、平均寿命が72歳くらいの時の考え方なのだろう。今や、人生100年時代とか。となると、96歳でおだぶつということにして、年齢を4で割って何時にいるかを示すのがよいのではないか。21歳なら朝5時ちょっと過ぎ。36歳で午前9時。48歳で正午。俺なんかまだ午後5時だ。 これからのアフター5は、まだまだいろいろ楽しいことが待っていそうだ。竹下登元首相の戯れ歌に「50、60洟垂れ小僧、70、80働き盛り、90になって迎えが来たら、100まで待てと追い返せ」というのがあったが、働き盛りというのはちょっと無理としても、ただいま午後11時とは思いたくないなぁ。
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