今、本屋さんでは女優、樹木希林さん関係の本が平積みになっている。昨年9月15日にがんのため75歳で亡くなった希林さん。文学座出身でまだ30代のころからテレビ「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」のお婆さん役で人気を博し、富士フイルムの「写るんです」のコマーシャルでは強烈な印象を残した。そして、晩年には映画「あん」、「万引き家族」で樹木希林以外では考えられない演技を見せた。 それらの本はおそらく今も売れている文春新書の「一切なりゆき」が大ヒットとなっているのに触発され、刊行されたものと思うのだが、樹木希林にはまるとヤバいなと思っていたので、気にはなっていたが手は出さなかった。先々週、ゴルフコンペで3位になった商品の2000円の図書カードを入手した。この手のカードはすぐブツに変えたくなる性分なので、西国駅前の本屋をブラブラしていたら、「希林さんといっしょに。」という映画監督、是枝裕和の本が目に入った。ちょうどカードで買えるお値段。 是枝氏は樹木さんと初めて会った2007年から彼女が亡くなる昨年まで、足掛け12年の間に雑誌「スイッチ」で何度もインタビューをしていた。それを1冊にまとめたのが400ページ近いこの本。希林と同じ9月15日に実母を亡くしている是枝監督は希林さんの演技の中に母親像を重ねている感じで、「歩いても歩いても」「そして父になる」「海街dairy」「万引き家族」でも希林さんを重要な役で起用している。 あのシーンでのあのしぐさは?などのやり取りがとても面白く、三日で読了。とにかく樹木希林というのは恐ろしい人なのだ。中で、大竹しのぶとの絡みでは「携帯番号を交換しましょうよ」というしのぶに「嫌よ。あなたのこと好きになりたくないのよ」と拒絶しておいて「あなた、服部さん、さんまさん、野田秀樹さんのなかで誰が一番好きなの?」と尋ねたりするのだ。天下の大竹にそんなこと面と向かって聞ける女優はいまい。 吉永小百合主演の「夢千代日記」では演出の深町幸男に反論した吉永を見直したとか。そして、「万引き家族」でカンヌ国際映画祭で取った直後、是枝監督に「もうお婆さんのことは忘れて、あなたはあなたの時間を若い人のために使いなさい。私はもう会わないからね」と告げたのだという。 すごいねぇ。あんまりこの本が面白かったので150万部突破というベストセラー「一切なりゆき」を買ってきて本日から読み始めたところである。 |
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