広告業界の雄、電通では面白い名刺を社員に持たせている。表は縦に横書きで肩書きや電話番号などが記載されているが、少し硬めの紙の名刺の裏は、100色ある色見本の中から好みの色を1色選ぶようになっている。その真ん中には白抜きで「dentsu」のロゴ入り。この色、自分の担当企業のコーポレートカラーを選んだり、母校のスクールカラーにしている奴がいたり、さまざまだが、各人にとってそれなりの意味があるはずだ。 電通の子会社である今の俺の校閲バイト先でも、同様な名刺を使用している。2年半前に採用してもらった時の直属の女性部長は紅梅色である。「あたし、気が強いからせめて色は女性っぽいのにした」とのこと。最初に打ち合わせたテレビ局担当のママ部長は濃いピンクだった。その上の常務さんはなぜかド派手な黄色。よく雑談するシニアスタッフのおじさんは郷里、和歌山の名産、みかんにちなんだオレンジ色だ。 栃木の新聞社を辞めてから自前で作った俺の名刺の裏には、元職だの趣味の生物学、中国語にまつわるサークル名が6つも書いてあるのだが、このカラー名刺はそういうわけにはいかない。 かつてはタバコを吸う時のライターにはこだわりがあり、ここ5、6年は文章教室の教え子からプレゼントされた金色の「ジッポー」を愛用していたが、これがこの夏壊れてしまい、100円ライターに切り替えた。タバコのカートン買いの時、おまけについているような安っぽいのを使っていたのだが、毎日手にするものだから、色と銘柄を統一しようと思い立ち、「ビック」(165円)の黄緑色の使い捨てライターを使うことにした。 何で黄緑かって?15年も前に先輩から教わった「五月みどりのシャツ黄緑」という脳裏から去らないフレーズが好きだから、というしかないな。 |
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