バイトに行くときは竹橋の会社時代から使っている「青木」の茶色で縦長の肩掛け革鞄を携えていく。A4の書類が入り、幅も8aくらいあって、京大式カード入れ、新書もしくは文庫本、予備のセブンスターが入り、ペンケースには生物学用の赤ペン、外側のポケットには眼鏡拭きとバイト先で首から掛ける”迷子札”が入っている。内側にもファスナー付きのポケットが2つあるなかなかの優れものだ。 2年前、肩紐と鞄をつなぐ金属部分が擦り減って、「青木」に長年勤めていた方が開いている上野の鞄店で修理してもらったことがある。実はこの青木の革鞄は二代目。同じタイプを十数年使い、その取っ手部分がダメになったので、十数年前御徒町のなじみの鞄店でケイタイが入るようにマイナーチェンジした同じ型のを求めたのだ。そのころで2万2000両くらいした。 上野の店では2年前、同じタイプに4万5000両の値札が付いていた。これまで同じ鞄を持っている人には一度しか遭ったことがない。お気に入りの品なのだ。持ち主同様、かなりくたびれてきてはいるけど……。 けさ、バイトに行く途中、東京駅のエスカレーターでこの鞄を右手に持って上っていると、後ろの女性にトントンと肩をたたかれた。「鞄の肩紐を引きずってますよ」と言うのだ。見ると肩掛け紐をズルズルと引きずっていた。鞄本体とつながる肩紐の金具が取れてしまっていた。最近、その部分のネジがよくゆるんでいたのだった。何かの拍子に金具が取れてしまったみたい。 う〜ん、バイトにはまだ2年ちょっと通うはず。鞄がないと困る。来週の出勤日までに、上野の鞄店に直してもらうしかないな。肩に掛けていれば両手が使える。ずっと取っ手を持って運ぶのはちと、辛いのだ。 |
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