記者の仕事は歴史が変わろうとしているところに立ち会えるのが醍醐味だ。で、若い仲間たちにはみんなが注目しているような場面はたとえテレビ画面でも見ておいた方がいいと、常々話してきた。自分が直接担当していない場合でも自分だったらそのシーンや会見をどう書くのか、いつも考えをめぐらせておくべきだと思うからである。 日本からレバノンにうまいこと逃亡した元日産会長、カルロス・ゴーンの記者会見を昨夜テレビ中継で見た。身振り手振りも大きく、日本の司法はひどい、自分は陰謀に遭った、妻と6週間も会えなかったなどと、しゃべりまくったが、どうやって逃亡したかなど肝腎なところはぼやかし、中身のない会見で、どこぞのコメンテーターが言っていたように「あれなら、やらない方がよかった」会見のように思えた。 まぁ会見から締め出された日本のメディアの禄を食んでいた人間だから、なおさらそう思うのだが(なんとテレ東は入場を許されたとのこと)、非正義から逃げたと言ったって逮捕され否認すれば、長期間勾留されるのはしょうがないだろう。コストカッターとして日産をV字回復させた功績はあるにせよ、長期政権化して会社を私物化し好き勝手に金を使っていては、何を言ってもハートに響かない。 保釈中の人間に海外逃亡され、コケにされた日本の司法当局をずっと注目してきたのだが(関西空港の入管職員が大きな箱をちゃんとチェックしていればこんなブザマなことにはならなかった)、日本時間午後10時から2時間半に及んだゴーンの何が言いたいのかよく分からない会見から1時間もたたない夜中の1時に、森雅子法相(55)が「逃亡は正当化できない」と記者会見したのには驚いた。 法務大臣が個別案件でこのように直ちに反応して会見したケースはこれまで記憶にない。この映像はおそらく海外にも流れるのだろう。深夜なのにきっちり化粧を決めてくるんだといたく感心したのでした。 |
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