週3日の校閲のバイト先は日本でも有数なPR会社で、社員約280人。100億円ちょっとの年間売上がある。働き始めてから2年半になるが、この会社、組織変更が大好きで、バイトの俺が所属する局と部の名前はもう4、5回変わっている。記者発表資料やウエブに載せる原稿のチェックなど、校閲校正の仕事の中身に変わりはないから、部の名前など覚える気にならない。組織変更のたびに席替えがあり、今週6回目だかの引っ越しをした。 両側に5人、5人くらいが座れるスペースの天板はそのままで、ボックス型の袖机と椅子を新しい配置に移動させ、引っ越しは完了する。我が校閲グループは実務はまったく分からない男性のシニアアドバイザーS氏と何をやっているんだかまったく不明のおばさん、それに竹橋の新聞社で俺と同期の最年長Mくん(71)=週2日=、それに絶世の美女Hさんと俺の5人で構成されている。 Hさんが入る前は、産経新聞の校閲部出身のおじさんが5年間いた。彼の任期満了に伴い2年前Hさんが加わってからずっと、俺の席は打ち合わせがしやすいようにHさんの隣と決まっていたのだが、今回の配置換えで左端の席のHさんの席の右隣はMくんとなり、俺はMくんの右隣でS氏の左隣と相成った。 俺と同じくスモーカーの局次長、I氏がタバコ部屋で語ったところによると、「Hさんがタバコの匂いがイヤというので場所を変わっていただきます」。ふ〜ん。高額納税者も美女に嫌われたもんだ。 もっともバイト先のタバコ部屋は42階建てのビルに働くスモーカーが全員集まる地下2階に、JTが金を出して造った幅5b、長さ20bほどの空間で、そこでタバコを吸っていれば着衣にタバコの匂いが染みつく。無菌培養の人には辛いことは容易に想像できる。今回の席替えで、よし、死ぬまでセブンスターを吸い続けてやるという気持ちがますます強まったのである。 |
|